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自由診療シリーズ③ プラセンタ注射をすると献血できない?|2026年秋のルール変更と1A・2Aの違い

自由診療シリーズ③

プラセンタ注射をすると献血できない?|2026年秋のルール変更と1A・2Aの違い

「プラセンタ注射をすると、一生献血できないのですか?」

プラセンタ注射について説明するとき、患者さんからよく聞かれる質問です。

これまで、ヒト由来のプラセンタ注射を一度でも受けた方は、期間を問わず献血をご遠慮いただく運用となっていました。

そのため、

「今後も献血を続けたいので、プラセンタ注射は受けられない」

「会社で定期的に献血へ参加しているので迷っている」

「一度注射したら一生献血できないと聞いて不安になった」

という方も少なくありませんでした。

しかし、この献血制限について、厚生労働省は見直しを決定しています。

プラセンタ注射歴による献血制限は、2026年秋頃に撤廃される予定です。

ただし、現時点ではまだ従来の運用が続いています。

今日は、現在の献血ルールと今後の変更予定、プラセンタ注射の1A・2Aの違い、当院の料金について説明します。


現在は、まだ献血できません

2026年8月現在、ヒト胎盤由来のプラセンタ注射を受けたことがある方は、現在も献血をご遠慮いただく運用です。

制限撤廃の方針は決定していますが、日本赤十字社における問診システムの変更や関係者への周知など、実際の運用に向けた準備が必要です。

厚生労働省は、献血制限の撤廃時期を2026年秋頃としています。

具体的な運用開始日は、まだ正式に発表されていません。

そのため、

「秋に撤廃されると聞いたから、今日から献血できる」

というわけではありません。

正式な運用開始が発表されるまでは、これまでどおり献血を控えてください。


なぜ、これまで献血できなかったのでしょうか?

国内で使用されているプラセンタ注射は、ヒトの胎盤を原料として製造されています。

原料となる胎盤については、提供者の問診や感染症検査が行われ、製造工程でも安全性を高めるための処理が実施されています。

しかし、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)については、献血時に血液から確認できる実用的な検査方法がなく、理論上のリスクを完全には否定できないと考えられていました。

そのため、輸血を受ける方の安全を最優先に考えた予防的な措置として、2006年からプラセンタ注射歴のある方の献血が制限されてきました。

これは、

「プラセンタ注射を受けた方が感染している」

「プラセンタ注射が危険な薬である」

という意味ではありません。

あくまで、輸血用血液の安全性を可能な限り高めるための慎重な措置でした。


なぜ、献血制限が撤廃されるのでしょうか?

厚生労働省の検討では、

  • 国内外におけるvCJDの発生状況
  • 国内における感染リスクの評価
  • 諸外国における献血制限の状況
  • これまでの安全性に関する情報

などが総合的に評価されました。

その結果、プラセンタ注射歴による献血制限を撤廃しても、国内のvCJD患者が増加することはないと判断され、制限を見直す方針が決定されました。

今後、正式な運用が始まれば、過去にプラセンタ注射を受けたことがある方も、プラセンタ注射歴だけを理由に献血を断られることはなくなる予定です。

ただし、献血当日の体調、年齢、体重、服用している薬、ほかの病気などによって、献血できない場合はあります。

最終的な献血の可否は、献血会場での問診や基準に基づいて判断されます。


プラセンタ注射とは?

プラセンタとは「胎盤」という意味です。

国内で承認されているプラセンタ注射薬は、ヒト胎盤から抽出した成分を原料として製造されています。

保険診療上の主な適応は、製剤によって異なりますが、

  • 更年期障害
  • 乳汁分泌不全
  • 慢性肝疾患における肝機能の改善

です。

これらの保険適応に該当しない目的で受ける場合は、自由診療となります。

当院では、日々の体調管理やコンディションケアについて医師へ相談したい方に、自由診療のプラセンタ注射をご用意しています。

ただし、プラセンタ注射は、疲労や不調を必ず改善する「万能注射」ではありません。

感じ方や体感には個人差があります。

病気の治療が必要な状態を、プラセンタ注射だけで済ませることもできません。

体調不良の原因として病気が疑われる場合には、必要な検査や保険診療をご案内します。


「1A」と「2A」は何が違うのでしょうか?

「A」は、アンプルの本数を表しています。

プラセンタ1A

プラセンタ製剤を1アンプル使用します。

初めて受ける方や、まず少ない本数から試したい方に選ばれることが多いメニューです。

プラセンタ2A

プラセンタ製剤を2アンプル使用します。

1Aを受けた経験があり、もう少し量を増やして受けたい方に選ばれることがあります。

ただし、2Aにすれば、効果が必ず2倍になるわけではありません。

注射後の感じ方や持続期間には個人差があります。

最初から2Aを選ぶ必要はなく、まず1Aから受け、体調や感じ方を確認してから次回以降の量を相談することもできます。


当院のプラセンタ注射料金

当院の料金は、次のとおりです。

プラセンタ1A 2,000円

プラセンタ2A 3,500円

いずれも税込の自由診療料金です。

ほかの注射・点滴と同じ日に受ける場合には、セット割引をご用意しています。

にんにく注射+プラセンタ

合計金額から200円引き

その他の注射・点滴+プラセンタ

合計金額から500円引き

プラセンタが1Aでも2Aでも、割引額は同じです。

例えば、

  • にんにく注射+プラセンタ1A:3,300円
  • メディカルにんにく注射+プラセンタ1A:4,000円
  • コンディション注射+プラセンタ1A:4,500円
  • ハイパフォーマンス点滴+プラセンタ1A:6,000円

となります。

当日の体調や目的を確認し、希望される組み合わせについてご相談いただけます。


医師が診察したうえで施行します

プラセンタ注射は、ご希望があれば一律に施行するものではありません。

医師が、

  • 当日の体調
  • 既往歴
  • アレルギー歴
  • 服用中のお薬
  • 注射を希望する目的
  • これまでに受けた際の副作用

などを確認し、安全に受けられるかを判断します。

体調や治療中の病気によっては、注射を延期または中止する場合があります。

また、初めて受ける方には、ヒト由来製剤であることや現在の献血制限についてご説明し、内容をご確認いただいたうえで施行します。

献血制限が撤廃された後も、ヒト由来製剤であることに変わりはありません。

医師による診察と説明、同意の確認は引き続き必要です。


主な副作用とリスク

プラセンタ注射では、次のような副作用が起こることがあります。

  • 注射部位の痛み
  • 腫れ
  • 赤み
  • 内出血
  • 発疹
  • かゆみ
  • 吐き気
  • アレルギー反応

まれに強いアレルギー反応が起こる可能性もあります。

注射後に息苦しさ、全身のじんましん、顔や唇の腫れ、強い気分不良などが現れた場合には、すぐに医療機関へご相談ください。


「献血できないから受けない」と考えていた方へ

これまで、

「プラセンタ注射に興味はあるけれど、今後献血できなくなるのは困る」

と考え、注射を見送っていた方もいらっしゃると思います。

献血制限は、2026年秋頃に撤廃される予定です。

これは、プラセンタ注射を検討する方にとって、大きな制度変更です。

ただし、2026年8月現在はまだ制限が続いています。

正式な運用開始日が発表されましたら、当院でも改めてご案内します。

制度変更だけを理由に急いで注射を受ける必要はありません。

効果の感じ方、費用、副作用、ヒト由来製剤であることなどを理解し、ご自身に必要かどうかを考えたうえで選択してください。


当院は8月19日から通常診療です

当院は、8月14日(金)から8月18日(火)まで夏季休診です。

8月19日(水)から通常どおり診療いたします。

プラセンタ注射について、

「1Aと2Aのどちらがよいか分からない」

「ほかのコンディション注射と一緒に受けたい」

「献血制限の変更について詳しく聞きたい」

という方は、診療再開後にご相談ください。

新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。

プラセンタ注射後の献血制限は、2026年秋頃に撤廃予定です。ただし、正式な運用開始までは、現在の献血制限に従ってください。

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呼吸器シリーズ③ 夏休み中の喘息発作に注意|吸入薬を休まず、息苦しいときは早めの受診を

呼吸器シリーズ③

夏休み中の喘息発作に注意|吸入薬を休まず、息苦しいときは早めの受診を

夏休みに入ると、喘息の治療も休んでいませんか?

明日からお盆休みという方も多いと思います。

帰省や旅行、レジャーなど、楽しみにしていた予定がある一方で、生活環境が大きく変わる時期でもあります。

喘息のある方から、

「旅行中くらい吸入薬を休んでも大丈夫ですか?」

「最近は咳も出ていないので、吸入薬を持っていきませんでした」

「帰省先で息苦しくなったけれど、いつもの病院が休みなので我慢しました」

というお話を伺うことがあります。

しかし、喘息は、症状がないときにも気道の炎症が残っていることがあります。

調子がよいからと吸入薬を自己判断で中断すると、旅行先で咳や喘鳴、呼吸困難が突然悪化する可能性があります。

夏休みを楽しむためにも、喘息の治療は休まないでください。


症状がないのは、治療が効いているからかもしれません

喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症があり、さまざまな刺激によって気道が狭くなる病気です。

症状が悪化すると、

  • 咳が続く
  • 「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と音がする
  • 息が苦しい
  • 胸が締め付けられる
  • 夜間や明け方に咳で目が覚める

といった症状が現れます。

吸入ステロイド薬などの長期管理薬は、今ある咳だけを止める薬ではありません。

気道の炎症を抑え、将来の発作を予防するための薬です。

「最近は調子がよいから、もう治った」

と思って薬を中断すると、抑えられていた気道の炎症が再び悪化することがあります。

症状がないことは、薬が不要になった証拠ではなく、治療によって良い状態を維持できている結果かもしれません。

薬を減らす、または中止する場合も、自己判断ではなく、症状や呼吸機能を確認したうえで判断します。


夏休みには、喘息を悪化させる要因が増えます

旅行や帰省では、普段とは異なる環境で過ごすことになります。

例えば、

  • 帰省先の布団やカーペットにいるダニ
  • 実家で飼っている犬や猫
  • ほこりやカビ
  • 冷房による冷気
  • 急な温度差
  • 花火やバーベキューの煙
  • たばこや加熱式たばこの煙
  • 香水や芳香剤
  • 長時間の移動による疲労
  • 睡眠不足
  • 飲酒
  • 風邪、新型コロナ、インフルエンザなどの感染症

が、喘息悪化のきっかけになることがあります。

いつもの自宅では症状がなくても、帰省先へ着いた途端に咳や鼻水が出始めることもあります。

「昔から使っている布団だから大丈夫」

とは限りません。

久しぶりに使用する寝具には、ダニやほこりがたまっていることがあります。

喘息やアレルギー性鼻炎のある方は、寝具や部屋の環境にも注意してください。


旅行には、毎日の吸入薬と発作時の薬を持参しましょう

旅行や帰省へ出かける際は、普段使用している薬を忘れずに持参してください。

確認してほしいものは、

  • 毎日使用する吸入薬
  • 発作時に使用する吸入薬
  • 内服薬
  • お薬手帳
  • 喘息の治療内容が分かる薬袋や説明書
  • スペーサーなどの吸入補助器具
  • ピークフローメーターを使用している方は測定器

です。

吸入薬の残量も確認しましょう。

吸入器の中に薬が残っているように見えても、規定回数を使い切っている場合があります。

残量カウンターがある製品は、出発前に数字を確認してください。

薬は、できるだけすぐに取り出せる手荷物へ入れます。

自家用車で移動する場合も、夏の車内は非常に高温になるため、吸入薬を長時間置いたままにしないでください。


発作時の吸入薬は、処方された方法で使用してください

喘息発作が起きたときには、医師から指示されている発作時の吸入薬を使用します。

ただし、発作時の対応は、使用している薬や治療方法によって異なります。

短時間作用性の気管支拡張薬を使用する方もいれば、吸入ステロイド薬と気管支拡張薬の配合剤を、発作時にも追加吸入する治療を行っている方もいます。

「家族が使っている吸入薬を借りる」

「以前処方された古い吸入薬を適当に使う」

「苦しいので指示された回数を超えて何度も吸入する」

ことは避けてください。

旅行前に、

  • どの薬を毎日使うのか
  • 発作時にはどの薬を使うのか
  • 何回吸入するのか
  • どの段階で医療機関を受診するのか

を確認しておきましょう。


吸入して少し楽になっても、安心できないことがあります

発作時の吸入薬を使用すると、一時的に呼吸が楽になることがあります。

しかし、

  • 効果が短時間しか続かない
  • いつもより頻繁に吸入が必要
  • 吸入しても十分に改善しない
  • 夜間に何度も目が覚める
  • 横になると苦しい
  • 咳や喘鳴が次第に強くなる

という場合は、喘息の悪化が進んでいる可能性があります。

吸入するたびに少し改善するからと、旅行先のホテルや自宅で何時間も様子を見続けてはいけません。

発作時の薬がいつもより効かないこと自体が、受診を考えるサインです。


このような症状は、救急診療が必要です

次のような状態では、休み明けまで待たず、救急対応が可能な医療機関を受診してください。

  • 苦しくて横になれない
  • 短い文章を続けて話せない
  • 歩くだけで強く息切れする
  • 呼吸が速く、息を整えられない
  • 発作時の吸入薬を使っても改善しない
  • 吸入薬の効果が長く続かない
  • 胸や首の筋肉を大きく動かして呼吸している
  • 顔色が悪い
  • 唇が紫色になっている
  • 意識がぼんやりしている
  • ぐったりして動けない

動けない、会話ができない、意識がおかしい、唇が紫色になっている場合には、ためらわず119番へ連絡してください。

ご自身で車を運転して受診してはいけません。


「喘息だと思う」だけで済ませてはいけない呼吸困難もあります

咳や息苦しさ、胸の圧迫感があると、

「いつもの喘息だろう」

と思う方がいます。

しかし、呼吸困難を起こす病気は喘息だけではありません。

  • 肺炎
  • 新型コロナやインフルエンザ
  • 自然気胸
  • 肺血栓塞栓症
  • 心不全
  • 不整脈
  • 狭心症や心筋梗塞
  • アナフィラキシー

などでも、息苦しさや胸部症状が現れます。

特に、

  • 突然、片側の胸が痛くなった
  • 深呼吸すると胸が痛い
  • 胸が締め付けられる、圧迫される
  • 冷汗や吐き気がある
  • 片脚だけが腫れている
  • じんましんや顔・唇の腫れを伴う
  • 高熱や強いだるさがある

という場合は、喘息と決めつけず、早急な診察が必要です。

喘息の既往がある方でも、今回の症状が必ず喘息とは限りません。


咳だけで「咳喘息」と決めることもできません

「長引く咳=咳喘息」と考え、検査をせずに吸入薬だけを続けている方も少なくありません。

しかし、咳の原因には、

  • 感染後咳嗽
  • アトピー咳嗽
  • 副鼻腔炎や後鼻漏
  • 胃食道逆流症
  • 肺炎
  • 非結核性抗酸菌症
  • 肺がん
  • 心不全
  • 服用している薬の影響

など、さまざまなものがあります。

吸入薬を使用しても咳が改善しない場合には、薬を増やす前に、そもそも診断が正しいかを見直す必要があります。

当院では、問診と聴診だけで咳喘息と決めるのではなく、必要に応じて胸部エックス線、呼吸機能検査、呼気一酸化窒素検査(FeNO)などを組み合わせて原因を確認します。


夏休み中も、体調不良を我慢しないでください

当院は、8月14日(金)から8月18日(火)まで夏季休診となります。

8月19日(水)から通常どおり診療いたします。

休診期間中も、喘息やほかの病気が休みになるわけではありません。

咳や喘鳴が軽く、処方されている発作時の薬で速やかに改善し、その後も安定している場合は、無理をせず休養してください。

一方で、

「いつもの薬が効かない」

「だんだん息苦しくなっている」

「朝まで待つのが不安」

という場合には、当院の診療再開を待たず、休日診療所や救急対応が可能な医療機関へご相談ください。

重い症状がある場合は119番へ連絡してください。


夏休みを楽しむために、喘息治療は休まない

喘息の治療は、発作が起きてから苦しさを取るだけのものではありません。

毎日の治療によって気道の炎症を抑え、発作を起こさない状態を維持することが大切です。

「調子がよいから吸入薬を休む」

のではなく、

「調子がよい状態を守るために、吸入薬を続ける」

と考えてください。

旅行前には、薬の残量、吸入方法、発作時の対応を確認しましょう。

夏休み明けに、

  • 旅行中に咳や息苦しさが出た
  • 発作時の吸入薬を何度も使った
  • 夜間や明け方の咳が増えた
  • これまでの治療で十分に改善しない
  • 本当に喘息なのか確認したい

という方は、ご相談ください。

新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。

楽しい夏休みにするために、毎日の吸入薬と発作時の薬を忘れずに。息苦しいときは、休み明けまで我慢しないでください。

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生活習慣病シリーズ⑤ お盆休みに薬が切れそうな方へ|高血圧・糖尿病の薬を自己判断で中断しないで

生活習慣病シリーズ⑤

お盆休みに薬が切れそうな方へ|高血圧・糖尿病の薬を自己判断で中断しないで

お盆休みの前に、お薬の残りを確認しましたか?

お盆休みに入り、帰省や旅行を予定している方も多いと思います。

一方で、この時期になると、

「帰省先で薬がなくなることに気づいた」

「かかりつけの病院が休みだった」

「数日くらい飲まなくても大丈夫だと思った」

「旅行に薬を持ってくるのを忘れた」

というご相談が増えます。

高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈などの病気は、お盆休みだからといって休んでくれるわけではありません。

症状がないからと自己判断で薬を中断すると、血圧や血糖値が悪化したり、病気によっては脳梗塞や心不全などにつながったりする可能性があります。

お盆休みに入る前に、まず薬の残りを確認しましょう。


「数日くらい飲まなくても大丈夫」とは限りません

薬を何日か飲まなかったときの影響は、薬の種類や病気の状態によって異なります。

一度飲み忘れただけで、直ちに重大な問題が起こるとは限りません。

しかし、

「症状がないから、しばらく飲まなくてもよい」

「休みの間だけ中断しよう」

と考えるのはおすすめできません。

特に注意が必要なのは、

  • 高血圧の薬
  • 糖尿病の薬やインスリン
  • 心不全の薬
  • 不整脈の薬
  • 心房細動などに対する抗凝固薬
  • 狭心症の薬
  • ステロイド薬
  • てんかんの薬

などです。

薬によっては、急に中断することで病状が悪化することがあります。

反対に、食事が十分に取れない、嘔吐や下痢が続く、脱水状態になっているときには、いつも通り服用すると低血糖や腎機能悪化などの問題が起こる薬もあります。

「飲む」「中止する」のどちらも、自己判断ではなく、そのときの体調と薬の種類に応じた判断が必要です。


血圧の薬を休むと、すぐ症状が出ますか?

降圧薬を中断して血圧が上がっても、頭痛やめまいなどの症状が必ず現れるわけではありません。

かなり血圧が高くても、本人は何も感じないことがあります。

そのため、

「薬を飲まなくても体調は変わらなかった」

「自分には薬が必要なかったのではないか」

と思ってしまう方がいます。

しかし、血圧の薬を飲む目的は、今ある症状を取ることだけではありません。

高い血圧による負担から血管、心臓、脳、腎臓を守り、将来の脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などを予防することが大きな目的です。

症状がないことと、血圧が正常であることは同じではありません。

お盆休み中も、できる範囲で家庭血圧を測定し、処方された薬を続けましょう。


糖尿病の薬は、食事量や体調にも注意が必要です

お盆休みには、外食や会食が増え、普段より食事量や飲酒量が増えることがあります。

一方で、暑さや感染症によって、

  • 食欲がない
  • 食事がほとんど取れない
  • 嘔吐や下痢がある
  • 発熱している
  • 水分が取れない

という状態になることもあります。

糖尿病の薬やインスリンを使用している方は、食事量が大きく変わったときに注意が必要です。

薬の種類によっては低血糖や脱水を起こしたり、体調不良時に休薬を検討したりする場合があります。

ただし、すべての糖尿病薬を一律に中止するわけではありません。

食事が取れないからとインスリンを自己判断で完全に中止すると、かえって重い高血糖を招く場合もあります。

糖尿病の薬を服用中で、食事や水分が取れない、嘔吐や下痢が続く、血糖値が著しく高いという場合は、医療機関へご相談ください。


心房細動の「血液をサラサラにする薬」も自己中断しないでください

心房細動に対する抗凝固薬は、心臓の中に血栓ができることを防ぎ、脳梗塞の危険を減らすために使用します。

動悸がなくても、脈が正常に感じられても、医師の指示なく中断してはいけません。

「出血が心配だから旅行中だけ休もう」

「歯科治療があるので自分で止めた」

という判断も危険です。

抗凝固薬を中断する必要があるか、いつから再開するかは、治療内容や出血の危険性、脳梗塞のリスクを考えて判断します。

予定している手術や歯科治療がある場合は、処方した医師と治療を担当する医師・歯科医師へ事前に相談してください。


飲み忘れた分を、まとめて飲まないでください

薬を飲み忘れたことに気づいたとき、

「朝の分と夜の分を一緒に飲もう」

「昨日の分も取り戻したい」

と考える方がいます。

しかし、原則として、2回分を一度にまとめて飲んではいけません。

薬によって、飲み忘れたときの対応は異なります。

一般的には、気づいた時点で1回分を服用しますが、次の服用時間が近い場合には、飲み忘れた分を飛ばすことがあります。

1日1回の薬、1日2回の薬、食前薬、週1回の薬、注射薬では、それぞれ対応が異なります。

判断に迷ったときは、薬の説明書を確認するか、処方した医療機関または薬局へお問い合わせください。


旅行や帰省へ持っていくもの

旅行や帰省の際には、薬だけを裸の状態で持っていくのではなく、次のものも一緒に携帯しましょう。

  • 滞在日数より少し余裕を持った薬
  • お薬手帳
  • 薬の説明書
  • 健康保険証またはマイナ保険証
  • 糖尿病連携手帳や血圧手帳
  • インスリンや注射薬に必要な器具
  • 緊急時の連絡先

スマートフォンのお薬手帳を利用している方は、旅行先でも確認できる状態にしておきましょう。

処方内容が分かる薬袋や明細を、スマートフォンで撮影しておく方法もあります。

海外へ薬を持参する場合には、持ち込みが制限されている薬もあるため、渡航先の規則を事前に確認してください。


薬は手荷物として持ち歩きましょう

飛行機や長距離移動では、常用薬を預け荷物だけに入れないことも大切です。

荷物の遅延や紛失が起きると、薬を服用できなくなる可能性があります。

少なくとも移動中と数日分の薬は、すぐ取り出せる手荷物へ入れてください。

インスリンなど温度管理が必要な薬は、凍結や高温を避け、薬ごとの保管方法を確認します。

夏の車内は非常に高温になるため、薬を長時間置いたままにしないでください。


旅行先で薬をなくしたら、どうすればよいですか?

薬を紛失した、置き忘れた、予定より滞在が長くなったという場合は、そのまま何日も服用せずに過ごすのではなく、現地の医療機関へ相談してください。

その際、

  • お薬手帳
  • 薬袋
  • 処方内容の写真
  • マイナ保険証
  • これまでの検査結果

などがあると、使用している薬を確認しやすくなります。

錠剤の色や形だけでは、薬を正確に特定できないことがあります。

「白い血圧の薬」

「小さな丸い錠剤」

だけでは、同じ薬を安全に処方できない場合があります。

日頃から、自分が何の病気で、何という薬を飲んでいるか確認しておくことが大切です。


お盆休み前の「薬チェックリスト」

帰省や旅行へ出発する前に、次の点を確認してください。

  • 帰宅日まで薬が足りるか
  • 予備の薬が必要か
  • 朝・昼・夕・就寝前の飲み方を理解しているか
  • 飲み忘れた場合の対応を確認しているか
  • 食事が取れないときの対応を聞いているか
  • 薬を手荷物へ入れたか
  • お薬手帳を持ったか
  • 血圧計や血糖測定器が必要か
  • 旅行中の受診先を確認したか

薬が不足しそうなことに気づいたら、出発直前まで待たず、早めにかかりつけ医へ相談しましょう。


休みの日ほど、生活習慣も崩れやすくなります

お盆休みは、薬だけでなく生活習慣も乱れやすい時期です。

帰省先でのごちそう、外食、飲酒、夜更かし、長時間の移動が重なると、血圧や血糖値、尿酸値などが悪化することがあります。

すべてを厳しく制限する必要はありません。

ただし、

  • 食べ過ぎを何日も続けない
  • 塩分の多い料理を重ねない
  • 飲酒量を決めておく
  • 水分を十分に取る
  • 長時間座り続けない
  • 可能な範囲で歩く
  • 睡眠時間を確保する

といったことを意識しましょう。

休みを楽しみながら、治療も休まない。

そのバランスが大切です。


お盆休みも、病気は休んでくれません

薬を毎日飲むことを、面倒に感じる日もあると思います。

旅行や帰省中くらい薬のことを忘れたい、という気持ちも理解できます。

しかし、高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈などの治療は、将来の脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などを予防するために続けています。

お盆休みでも、病気が休みになるわけではありません。

旅行や帰省を安心して楽しむためにも、出発前に薬の残りと服用方法を確認してください。

薬が足りない、飲み忘れたときの対応が分からない、体調不良時に薬を続けてよいか迷うという方は、自己判断せずご相談ください。

新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。

休みを楽しみながら、治療は休まない。出発前に、お薬の確認を。

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山の日特別編 登山中の息切れ・胸痛・動悸を「山だから」で済ませないで|高山病・熱中症・心臓病の見分け方

山の日特別編

登山中の息切れ・胸痛・動悸を「山だから」で済ませないで|高山病・熱中症・心臓病の見分け方

今日は「山の日」です

8月11日は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日」として設けられた国民の祝日です。

夏休みを利用して、登山やハイキングを楽しむ方も多いと思います。

山の景色や澄んだ空気は、日常では味わえない魅力があります。

一方で、登山中に、

「いつもより息が切れる」

「胸が苦しい」

「心臓がドキドキする」

「頭が痛い」

「気持ちが悪い」

と感じても、

「山を登っているのだから当然だろう」

「運動不足だから仕方ない」

「もう少しで山頂だから頑張ろう」

と、無理をしてしまう方が少なくありません。

しかし、山で起こる体調不良の中には、高山病、脱水、熱中症、不整脈、狭心症、心筋梗塞など、放置すると命に関わる病気が含まれています。

登山中の体調不良を、すべて「疲れ」で済ませてはいけません。


山では心臓や肺に大きな負担がかかります

登山では、長時間の運動に加えて、坂道、荷物、気温、湿度、標高など、さまざまな要因が体に負担をかけます。

標高が上がると空気中の酸素が少なくなるため、体は酸素を全身へ届けようとして、呼吸数や心拍数を増やします。

さらに夏山では、発汗による脱水も加わります。

脱水によって体内の水分量が減ると、血圧や血流を保つために、心臓はより多く働かなければなりません。

その結果、

  • 動悸
  • 息切れ
  • めまい
  • 胸の違和感
  • 強い疲労感

などが現れることがあります。

健康な方でも起こりますが、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓病、肺の病気がある方では、より大きな負担になる可能性があります。


頭痛や吐き気は、高山病かもしれません

一般に標高2,500m前後を超えると、高山病を起こす可能性が高くなります。

急性高山病の代表的な症状は、

  • 頭痛
  • 吐き気
  • 食欲低下
  • めまい
  • 強い疲労感
  • 眠りにくい

などです。

「寝不足だろう」

「食事をしていないからだろう」

「二日酔いのようなものだろう」

と思って、さらに高度を上げるのは危険です。

高山病の症状が出た場合は、症状が改善するまで、それ以上登らないことが原則です。

休んでいても悪化する場合には、速やかに標高の低い場所へ下りる必要があります。

山頂へ行くことより、安全に下山することの方が大切です。


息苦しさやふらつきは、重い高山病の可能性があります

高山病が重症化すると、高地肺水腫や高地脳浮腫を起こすことがあります。

次のような症状は危険です。

  • 休んでいても息苦しい
  • 咳が強くなる
  • 歩く速度が極端に遅くなる
  • まっすぐ歩けない
  • ふらついて転倒する
  • 受け答えがおかしい
  • 強い眠気がある
  • 意識がもうろうとしている

このような場合は、その場で様子を見続けてはいけません。

本人に歩かせて無理に下山させることも危険です。

救助を要請し、可能であれば酸素を使用しながら、速やかに低い場所へ移動させる必要があります。


夏山では、標高が高くても熱中症になります

「山の上は涼しいから、熱中症にはならない」

とは限りません。

直射日光、長時間の運動、発汗、水分不足によって、標高の高い場所でも熱中症は起こります。

特に、

  • トイレを心配して水分を控える
  • 水を重く感じて持参量を減らす
  • のどが渇くまで飲まない
  • 休憩を取らずに歩き続ける
  • 前日の飲酒が残っている

といった行動は、脱水の危険性を高めます。

頭痛、吐き気、だるさ、めまいは、高山病でも熱中症でもみられます。

現場で完全に区別することは簡単ではありません。

大切なのは、原因を自己判断して無理に進むのではなく、いったん立ち止まり、休憩と水分補給を行い、改善しなければ下山を判断することです。


胸痛や動悸を「登山のせい」にしないでください

登山中に胸が痛い、胸が締め付けられる、胸が圧迫される、胸が重いと感じた場合には、狭心症や心筋梗塞も考える必要があります。

特に、

  • 胸の中央が締め付けられる
  • 胸の圧迫感が続く
  • 痛みが腕、肩、背中、首、顎へ広がる
  • 冷汗を伴う
  • 吐き気を伴う
  • これまでにない強い息切れがある

場合は、単なる疲労と考えてはいけません。

また、

「心臓が急にドキドキする」

「脈が飛ぶ」

「脈がバラバラになる」

「動悸とともにめまいがする」

という場合には、心房細動や頻脈性不整脈などが起きている可能性があります。

山の中では、病院へ到着するまでに時間がかかります。

「あと少しだから山頂まで行こう」

「下山すれば治るだろう」

と無理をせず、早い段階で行動を中止してください。


このような症状は、すぐに救助を要請してください

登山中に次のような症状がある場合は、無理に歩き続けず、速やかに救助を要請してください。

  • 強い胸痛や胸の圧迫感
  • 安静にしても改善しない息苦しさ
  • 意識が遠のく、または失神した
  • まっすぐ歩けない
  • 受け答えがおかしい
  • 呼びかけへの反応が悪い
  • 唇や顔色が紫色になっている
  • ろれつが回らない
  • 片側の手足が動かしにくい
  • 動悸が続き、立っていられない

携帯電話がつながる場所であれば、119番へ連絡し、山の名前、登山ルート、現在地、標高、症状などを伝えてください。

登山アプリやスマートフォンの位置情報が確認できる場合は、緯度・経度も伝えます。

単独で行動せず、体調の悪い方を一人にしないでください。


登山前の準備が、山での命を守ります

安全な登山のためには、体力だけでなく準備が大切です。

登山前には、

  • 無理のない行程を計画する
  • 単独登山をできるだけ避ける
  • 登山届を提出する
  • 家族に行程と下山予定時刻を伝える
  • 天候を確認する
  • 十分な水分と食料を準備する
  • 防寒具と雨具を携帯する
  • 常用薬を忘れずに持参する
  • 前日の深酒を避ける
  • 寝不足のまま出発しない

といった準備を行いましょう。

体調が悪いときに予定を中止することも、重要な登山技術の一つです。


心臓や肺に持病がある方は、登山前にご相談ください

高血圧、狭心症、不整脈、心不全、喘息、COPDなどの病気がある方でも、状態が安定していれば登山を楽しめる場合があります。

ただし、登る山の標高や行程、現在の病状によっては、事前に検査や薬の調整が必要です。

特に、

  • 階段で胸が苦しくなる
  • 最近、息切れが強くなった
  • 動悸や脈の乱れがある
  • 血圧が十分に管理できていない
  • 健診で心電図異常を指摘された
  • 長期間、心臓の検査を受けていない

という方は、登山前に一度ご相談ください。

必要に応じて、心電図、胸部エックス線、血液検査、心エコーなどを行い、安全に登山できる状態かを確認します。


山頂だけではない、富士山の新しい楽しみ方

今回の記事でお伝えしたいのは、山頂へ到達することだけが登山の価値ではない、ということです。

当院ともご縁のあるアメアスポーツジャパンが展開するスポーツブランド「サロモン」は、富士吉田市とともに、**「Mt. FUJI Re-Style Project」**を進めています。

富士山を五合目から山頂まで登るだけではなく、古くから続く吉田口登山道や「富士みち」を歩き、富士吉田に根付く歴史・文化、地域の人々、自然とのつながりを改めて楽しもうという取り組みです。

速く登ることや山頂へ到達することだけを目的にせず、自分の体調や体力に合わせながら、山麓も含めて富士山を味わう。

これは、安全に山を楽しむという意味でも、とても良い提案だと思います。

富士山の新しい楽しみ方に興味のある方は、ぜひご覧ください。

サロモン「Mt. FUJI Re-Style Project」


引き返す勇気も、立派な登山です

私はこれまで、胸部外科、循環器診療、呼吸器診療、救急・集中治療の現場で、心臓や肺の病気を数多く診療してきました。

体調不良が起きたとき、街中であれば、すぐに心電図や血液検査を行えます。

しかし、山では医療機関へ到着するまでに何時間もかかることがあります。

だからこそ、山では早めの判断が重要です。

「せっかくここまで登ったから」

「仲間に迷惑をかけたくないから」

と無理をしてはいけません。

登頂することより、全員が無事に帰ること。

山の日をきっかけに、山の魅力だけでなく、安全な登山についても考えてみてください。

新宿イーストサイドたけうち内科では、登山前の体調相談や、登山中・下山後に起きた胸痛、息切れ、動悸などの診療にも対応しています。

東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。

東新宿 内科|新宿イーストサイドたけうち内科

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症状シリーズ③ 動悸がする・脈が飛ぶのは不整脈?|心房細動を見逃さないために

症状シリーズ③

動悸がする・脈が飛ぶのは不整脈?|心房細動を見逃さないために

「急に心臓がドキドキする」と感じていませんか?

突然、心臓の鼓動が気になり、

「心臓がドキドキする」

「胸の中で脈が暴れている」

「脈が飛ぶ、脈が抜ける」

「一瞬、心臓が止まったように感じる」

「脈が速くなったり、遅くなったりする」

と不安になったことはありませんか?

このように、自分の心臓の拍動をいつもより強く、速く、または不規則に感じる症状を「動悸」といいます。

動悸は、必ずしも重大な心臓病を意味するわけではありません。

一方で、心房細動など、脳梗塞や心不全につながる不整脈が隠れていることもあります。

大切なのは、

「動悸があるか、ないか」だけではなく、動悸が起きているときに心臓がどのように動いているかを確認することです。


動悸の感じ方は、人によって異なります

動悸というと、「心臓が速くドキドキする症状」を想像する方が多いと思います。

しかし実際には、さまざまな感じ方があります。

脈が速くなる

突然、脈が速くなり、心臓が激しく打っているように感じます。

運動、緊張、発熱などによる正常な反応の場合もありますが、発作性上室性頻拍、心房細動、心房粗動などの不整脈でも起こります。

脈が飛ぶ・抜ける

「ドクン」と強く打つ、脈が一拍抜ける、心臓が一瞬止まったように感じる症状です。

期外収縮でよくみられます。

期外収縮の多くは直ちに危険なものではありませんが、回数や心臓の状態によっては詳しい検査が必要です。

脈がバラバラになる

脈の間隔が不規則で、速くなったり遅くなったりします。

このようなときには、心房細動を疑う必要があります。

心臓が強く打つ

脈拍数が正常でも、心臓の拍動を強く感じることがあります。

緊張、不安、睡眠不足、貧血、甲状腺機能の異常などが関係している場合もあります。


動悸のすべてが心臓病とは限りません

動悸は、不整脈以外にもさまざまな原因で起こります。

例えば、

  • 睡眠不足
  • 疲労
  • 精神的な緊張やストレス
  • 過度の運動
  • 発熱
  • 脱水
  • 貧血
  • 甲状腺機能亢進症
  • 低血糖
  • 更年期
  • カフェインの取り過ぎ
  • 飲酒
  • 喫煙
  • 一部の風邪薬や喘息治療薬

などでも、心臓が速く打ったり、強く打ったりすることがあります。

「動悸がする=危険な不整脈」とは限りません。

しかし、症状だけで原因を決めることもできません。

「ストレスだろう」

「コーヒーを飲み過ぎただけだろう」

「少し休んだら治ったから大丈夫」

と自己判断すると、治療が必要な不整脈を見逃す可能性があります。


特に見逃したくないのが心房細動です

心房細動は、心臓の上部にある心房が細かく震え、脈が不規則になる不整脈です。

心房細動になると、

  • 脈がバラバラになる
  • 突然、脈が速くなる
  • 動悸が続く
  • 息切れがする
  • 疲れやすくなる
  • 胸が苦しくなる

といった症状が出ることがあります。

一方で、自覚症状がほとんどない方もいます。

心房細動で問題になるのは、動悸そのものだけではありません。

心房の中で血液がよどむと血栓ができ、それが脳の血管に詰まることで、重い脳梗塞を起こすことがあります。

また、速い脈が長く続くことによって、心不全を起こす場合もあります。

心房細動が見つかった場合には、年齢、高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞の既往などを確認し、脳梗塞を防ぐための抗凝固薬が必要かどうかを判断します。

「動悸が治まったから、もう大丈夫」とは限らないのが、発作性の心房細動です。


不整脈は、症状があるときの心電図が最も重要です

不整脈の診断で最も大切なのは、動悸や脈の乱れが起きている、その瞬間に心電図を記録することです。

診察室に着くと動悸が治まり、心電図も正常になっていることは少なくありません。

発作が終わってから心電図をとっても、普段の正常な波形しか記録されず、不整脈の正体がわからないことがあります。

発作が起きていないときの心電図が正常でも、発作性の不整脈を完全に否定することはできません。

そのため、

「次の予約日まで待とう」

「数日様子を見てから受診しよう」

ではなく、

調子が悪いときこそ、すぐに受診してください。


当院は月曜日から土曜日まで診療しています

多くのクリニックでは、週に半日から1日程度の休診日を設けています。

当院は、月曜日から土曜日まで休診日を設けず診療しています。

院長の私は院内におりますので、診療時間内であれば、動悸や脈の乱れが出たときにご相談いただけます。

「今日は予約していないから」

「いつもの動悸だから」

と遠慮する必要はありません。

症状が出ているときに心電図を記録できれば、心房細動、発作性上室性頻拍、期外収縮など、不整脈の診断に大きく近づきます。

動悸がする。脈が飛ぶ。脈がバラバラになる。

その症状が続いているなら、治まるのを待たず、月曜日から土曜日までの診療時間内に当院へお越しください。


受診までに記録してほしいこと

動悸が起きたときには、可能であれば次の点を記録してください。

  • 何時ごろ始まったか
  • 何をしているときに始まったか
  • 突然始まったか、徐々に始まったか
  • 何分くらい続いたか
  • 脈は速かったか
  • 脈の間隔は規則的だったか、バラバラだったか
  • 胸痛、息切れ、めまい、冷汗などを伴ったか
  • 突然止まったか、徐々に治まったか

血圧計で測定できた場合には、血圧と脈拍数も記録してください。

スマートウォッチや携帯型心電計で記録できた波形がある場合は、受診時にお見せください。

ただし、機器で「正常」と表示されても、不整脈を完全に否定できるわけではありません。


必要な検査を組み合わせて原因を調べます

動悸の原因を調べる基本的な検査は、12誘導心電図です。

症状が起きている最中に心電図を記録できれば、診断に大きく近づきます。

症状が短時間で治まる場合や、毎日は起こらない場合には、必要に応じて長時間心電図などを検討します。

また、不整脈の背景にある病気を確認するため、

  • 血液検査
  • 貧血の検査
  • 甲状腺機能検査
  • 電解質の検査
  • 胸部エックス線
  • 心エコー
  • 長時間心電図

などを、症状や診察所見に合わせて組み合わせます。

検査をすべて一律に行うのではなく、動悸の起こり方や持続時間、年齢、既往歴などから必要な検査を選ぶことが大切です。


このような動悸は、救急車を要請してください

動悸に加えて、次のような症状がある場合は、当院へ向かうのではなく、速やかに119番へ連絡してください。

  • 胸が痛い、胸が締め付けられる
  • 胸が圧迫される、胸が重い
  • 強い息苦しさがある
  • 意識が遠のく
  • 実際に失神した
  • 冷汗や強い吐き気を伴う
  • 顔色が悪い
  • 動悸が続き、立っていられない
  • ろれつが回らない
  • 片側の手足が動かしにくい
  • 呼びかけへの反応が悪い

動悸に胸痛、呼吸困難、失神などを伴う場合には、重い不整脈、急性心筋梗塞、肺血栓塞栓症なども考える必要があります。

ご自身で車を運転して受診せず、救急車を要請してください。


繰り返す動悸は、一度きちんと確認しましょう

一瞬だけ脈が飛び、その後は何ともない場合でも、症状が繰り返す、回数が増えている、数分以上続くという場合には、一度ご相談ください。

特に、

  • 高血圧がある
  • 糖尿病がある
  • 心臓病を指摘されたことがある
  • 脳梗塞を起こしたことがある
  • 睡眠時無呼吸を指摘されている
  • 飲酒量が多い
  • ご家族に突然死した方がいる

という方は、注意が必要です。

私はこれまで、胸部外科、循環器診療、救急・集中治療の現場で、さまざまな不整脈や心臓病の患者さんを診療してきました。

多くの動悸は、検査の結果、直ちに危険なものではないと判断できます。

しかし、その中から心房細動や治療が必要な不整脈を見つけることが重要です。

心配し過ぎる必要はありませんが、「いつものことだから」と放置もしない。

そのために、一度きちんと心電図で確認しましょう。


動悸が起きているときに、当院へ

「急に心臓がドキドキする」

「脈が飛ぶ、脈が抜ける」

「脈がバラバラになる」

「健診で不整脈を指摘された」

「スマートウォッチから不整脈を通知された」

という方は、ご相談ください。

不整脈は、症状が出ているときの心電図が診断の鍵になります。

当院は月曜日から土曜日まで、休診日を設けず診療しています。

調子が悪いときが、心電図を記録するチャンスです。症状が続いているうちに受診してください。

新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。

東新宿 内科|新宿イーストサイドたけうち内科

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新宿区健康診査・がん検診のご案内 新宿区の無料健康診査・がん検診は当院へ|東新宿駅直結・自費エコーも追加できます

新宿区健康診査・がん検診のご案内

新宿区の無料健康診査・がん検診は当院へ|東新宿駅直結・自費エコーも追加できます

当院を受診したことがない方も、区民健診だけの方も大歓迎です

新宿区から届いた健康診査・がん検診の受診券が、そのままになっていませんか?

「どこの医療機関で受ければよいか分からない」

「かかりつけ医がいない」

「大きな健診施設まで行くのは面倒」

「体調は悪くないので、後回しにしている」

という方も多いと思います。

新宿区の健康診査(区民健診)は、新宿イーストサイドたけうち内科で受けられます。

当院は、新宿区の健康診査・がん検診指定医療機関です。

当院が初めての方も、健康診査だけをご希望の方も大歓迎です。

現在のかかりつけ医を変える必要もありません。


新宿区の基本健康診査は無料です

令和8年度の新宿区健康診査は、対象となる方であれば、

自己負担0円・無料

で受けられます。

健康診査では、

  • 問診
  • 身体計測
  • 診察
  • 血圧測定
  • 尿検査
  • 血液検査

などを行います。

血液検査では、血糖・HbA1c、コレステロール、中性脂肪、肝機能、腎機能、尿酸、貧血など、健康管理に重要な項目を幅広く確認します。

対象となる主な方は、

  • 40~74歳の新宿区国民健康保険加入者
  • 16~39歳で学校や勤務先などに健診を受ける機会がない方
  • 東京都後期高齢者医療制度に加入している方
  • 生活保護などを受給している方

などです。

対象条件は、年齢や加入している健康保険によって異なります。

新宿区から健康診査受診券が届いている方は、受診券をご確認ください。


健康診査と一緒に、がん検診も受けませんか?

当院では、新宿区の健康診査に加えて、

  • 肺がん検診
  • 大腸がん検診
  • 前立腺がん検診
  • 肝炎ウイルス検診

も実施しています。

健康診査の血液検査だけで、すべてのがんが分かるわけではありません。

せっかく医療機関へ行くのであれば、対象となるがん検診も一緒に申し込んでみませんか?


当院で受けられる検診と料金

基本健康診査

無料

問診、身体計測、血圧測定、尿検査、血液検査などを行います。


肺がん検診

40歳以上:900円

胸部エックス線を正面と側面の2方向から撮影します。

肺がんは、早期には咳、痰、息苦しさなどの症状がないことがあります。

「咳がないから大丈夫」

「タバコを吸わないから肺がんにはならない」

とは限りません。

対象となる方は、年に1回の肺がん検診をご検討ください。

胸部エックス線+喀痰細胞診

1,200円

50歳以上で、喫煙指数が高い方が対象です。

喫煙指数は、

1日の平均喫煙本数×喫煙年数

で計算します。

過去に喫煙していた期間も含めて600以上となる方は、喀痰細胞診を追加する対象になる場合があります。

事前に検査容器をお渡ししますので、ご希望の方は予約時にお申し出ください。


大腸がん検診

40歳以上:600円

便潜血検査により、便の中に目では見えない血液が混じっていないかを調べます。

大腸がんや大腸ポリープがあっても、初期には腹痛、便秘、下痢、血便などの症状がないことがあります。

「毎日便が出ているから大丈夫」

「目で見て血が混じっていないから大丈夫」

とは限りません。

ご自宅で2日分の便を採取していただくため、事前に採便容器をお渡しします。

予約時に、

「大腸がん検診も希望します」

とお伝えください。


前立腺がん検診

50歳以上の男性:200円

PSAという項目を採血で測定します。

健康診査の採血と一緒に実施できるため、別の日に改めて採血を受ける必要はありません。

希望される方は、

  • 健康診査受診券
  • 前立腺がん一次検診受診券

をご持参ください。

※新宿区の前立腺がん検診は、国が示す対策型がん検診の指針外検診として実施されています。検査の利点や、数値が高かった場合の対応についてもご説明します。


肝炎ウイルス検診

無料

過去に新宿区の肝炎ウイルス検診を受けたことがない、40歳以上の新宿区民が対象です。

新宿区にお住まいの間、1回受診できます。

B型肝炎・C型肝炎は、感染していても長期間症状がないことがあります。

これまで一度も検査を受けたことがない方は、この機会にご相談ください。


50歳以上の男性なら、主要3検診を合計1,700円で追加できます

例えば、対象となる50歳以上の男性の場合、

  • 肺がん検診:900円
  • 大腸がん検診:600円
  • 前立腺がん検診:200円

合計、

1,700円

です。

基本健康診査は無料です。

さらに、過去に未受診で対象となる方は、肝炎ウイルス検診も無料で追加できます。

受診券が届いているのであれば、使わないのはもったいありません。


無料健診に、自費の超音波検査も追加できます

健康診査では血液検査や尿検査を行いますが、採血だけでは臓器や血管の状態までは確認できません。

さらに詳しく調べたい方には、希望者向けの自費超音波検査もご用意しています。

自費検査は、新宿区の健康診査・がん検診には含まれません。

すべての方に必要な検査ではありませんので、ご希望や健康上のリスクに合わせて選択してください。


心エコー検診|8,800円

実施日時:水曜日14:30~

心エコーでは、

  • 心臓の収縮する力
  • 心臓の大きさ
  • 心臓の壁の厚さ
  • 心臓弁の動き
  • 弁膜症を疑う所見
  • 心臓内部の血流

などを確認します。

当院では、臨床検査技師が検査と計測を行い、医師が画像と結果を確認します。

特に、

  • 高血圧が長く続いている
  • 心雑音を指摘された
  • 心電図異常を指摘された
  • 息切れや動悸が気になる
  • 弁膜症や心不全が心配
  • ご家族に心臓病の方がいる

という方にご案内します。

異常が疑われた場合には、循環器内科医による保険診療をご案内し、必要に応じて再検査や追加検査を行います。

※胸痛、呼吸困難、強い動悸などの症状がある方は、自費健診ではなく通常の診察をお受けください。


腹部エコー|5,500円

実施日時:水曜日14:30~

腹部エコーでは、

  • 肝臓
  • 胆のう
  • 胆管
  • 膵臓
  • 腎臓
  • 脾臓
  • 腹部大動脈

などを観察します。

脂肪肝、胆石、胆のうポリープ、腎結石、腎のう胞などが見つかることがあります。

「肝機能の数値が気になる」

「以前、脂肪肝や胆石を指摘された」

「採血だけでなく、お腹の臓器も確認したい」

という方にご案内します。


頸動脈エコー|4,400円

実施日時

  • 平日12:30~
  • 平日18:30~
  • 水曜日14:30~
  • 土曜日12:30~

頸動脈エコーでは、

  • 血管壁の厚さ
  • プラークの有無
  • 血管の狭窄
  • 血流の状態

などを確認し、動脈硬化の程度を評価します。

特に、

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • LDLコレステロール高値
  • 喫煙歴
  • 肥満
  • ご家族に心筋梗塞や脳梗塞を発症した方がいる

という方にご案内します。

血液検査の数値だけでなく、実際の血管がどうなっているのか確認したい方

のための検査です。


肝臓エラストグラフィ|3,300円

実施日時

  • 平日12:30~
  • 平日18:30~
  • 水曜日14:30~
  • 土曜日12:30~

当院の肝臓エラストグラフィでは、

  • 肝臓に蓄積した脂肪量の定量
  • 肝臓の硬さの測定
  • 肝線維化の可能性の評価

を行います。

脂肪肝で重要なのは、脂肪があるかどうかだけではありません。

脂肪がどの程度蓄積しているのか。
肝臓が硬くなっていないか。

まで確認することが大切です。

「脂肪肝ですね」で終わらせず、脂肪蓄積量と肝臓の硬さまで確認したい方にご案内します。


組み合わせるとお得です

頸動脈エコー+肝臓エラストグラフィ

通常合計7,700円のところ、

セット料金:6,600円

肝臓と血管の両方を確認する、メタボリックシンドロームが気になる方向けのセットです。

腹部エコー+肝臓エラストグラフィ

通常合計8,800円のところ、

セット料金:7,700円

腹部の臓器を広く観察しながら、脂肪蓄積量と肝臓の硬さも測定します。


健診を「受けて終わり」にしません

健診を受ける医療機関を選ぶときに大切なのは、

異常が見つかったあと、きちんと相談できるか

ということです。

当院では、

  • 血圧が高い
  • LDLコレステロールや中性脂肪が高い
  • 血糖値やHbA1cが高い
  • 肝機能の数値が悪い
  • 腎機能が低下している
  • 便潜血検査が陽性だった
  • PSAが高かった
  • 胸部エックス線で異常を指摘された
  • エコーで異常が見つかった

といった場合にも、その後の相談に対応します。

当院で対応できるものは追加検査や治療を行い、より専門的な検査・治療が必要な場合には、適切な専門医療機関をご紹介します。

※健康診査・がん検診・自費エコー後の追加検査や治療は、医学的に必要と判断した場合、通常の保険診療として行います。


年度末まで待たず、受診券を見つけた今のうちに

令和8年度の健康診査・がん検診は、原則として令和9年3月31日まで受けられます。

しかし、

「まだ先だから大丈夫」

と思っていると、そのまま忘れてしまいます。

年度末は医療機関が混み合いやすく、ご希望の日に受診できない場合もあります。

受診券を見つけた今が、予約するタイミングです。


東新宿駅A3出口直結です

新宿イーストサイドたけうち内科は、

東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階

にあります。

受診の際は、

  • 健康診査受診券
  • 希望するがん検診の受診券
  • マイナ保険証など
  • 過去の健診結果

をご持参ください。

受診券は台紙からはがさず、そのままお持ちください。

大腸がん検診や喀痰細胞診をご希望の場合は、事前に検査容器のお渡しが必要です。

自費超音波検査をご希望の場合は、希望する検査名と実施日時を予約時にお伝えください。

新宿区の無料健康診査、肺がん・大腸がん・前立腺がん検診、肝炎ウイルス検診は、東新宿駅直結の新宿イーストサイドたけうち内科へ。

当院が初めての方も、健診だけの方も大歓迎です。
届いた受診券を、今年こそ使いましょう。

東新宿 内科|新宿イーストサイドたけうち内科

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外傷シリーズ① 切り傷は何科に行けばいい?|新宿・東新宿で傷の縫合・処置

外傷シリーズ①

切り傷は何科に行けばいい?|新宿・東新宿で傷の縫合・処置

「この傷、縫った方がいいですか?」

包丁で指を切った。

転んで額を切った。

家具の角にぶつけて頭が割れた。

ドアに指を挟んで、爪まで傷ついた。

そんなとき、

「救急車を呼ぶほどではなさそう」

「でも絆創膏だけで大丈夫なのかな?」

「そもそも何科に行けばいいの?」

と迷うことはありませんか?

切り傷の診療で大切なのは、単に「傷を閉じること」ではありません。

傷の深さ、汚れ、異物、神経・腱・血管の損傷、骨折の可能性などを確認し、

縫った方がよいのか、縫わずに治した方がよいのか

を判断します。

そしてもう一つ。

私は、

「治ればいい」だけではなく、できるだけきれいに治してあげたい

と考えています。


内科クリニックですが、私はもともと外科医です

新宿イーストサイドたけうち内科は、その名前の通り「内科」です。

そのため、

「切り傷も診てもらえるんですか?」

と驚かれることがあります。

はい。診ています。

というより、

私はもともと外科医です。

長年、胸部外科医として手術や救急診療に携わってきました。

特に専門としていたのが、先天性心疾患の手術です。

つまり、生まれたばかりの赤ちゃんや子どもの心臓を手術することも多くありました。

この経験が、現在の私の傷に対する考え方にもつながっています。


「手術の中身がすべて」という時代がありました

私が外科医として手術をしていた頃、外科の世界には、

「外から見える傷より、胸の中でどんな手術をしたかが勝負だ」

という考え方が強くありました。

もちろん外科医として、命を救い、病気を治すことが最優先なのは間違いありません。

しかし、患者さんの立場になって考えると、それだけではありません。

手術が終わったあとも、

手術の傷あととは、一生付き合っていくことになります。

特に私が手術していたのは、先天性心疾患を持つ赤ちゃんや子どもたちです。

小さな赤ちゃんの胸につけた手術創が、その子が大人になっても残る。

そう考えると、

「手術が成功した。それで終わり」ではいけない。

可能な限り、傷もきれいにしてあげたい。

私は若い頃から、そう考えていました。


そのために、形成外科へ皮膚縫合を習いに行きました

形成外科は、傷をきれいに治すことそのものを専門技術として磨いている診療科です。

一方、外科医にとって皮膚縫合は、大きな手術の最後の仕上げです。

何時間にも及ぶ手術を終えたあと、

「できるだけ手術時間を短くしたい」

という現実もあります。

つまり、

できるだけ短時間で縫いたい。

でも、

できるだけきれいに縫いたい。

この二つを両立させる必要があります。

私は、その方法をきちんと身につけたいと思いました。

そこで外科医時代、

形成外科で3か月間のトレーニングを2回、合計6か月間受け、皮膚縫合の技術を学びました。

形成外科の先生たちが、

どの層を合わせるのか。

どのくらいの強さで寄せるのか。

どうすれば皮膚表面の縫合痕を少なくできるのか。

そうした技術を、実際の診療の中で学びました。

それを、自分の外科手術にも取り入れてきました。


開いた皮膚は、閉じれば治ります。でも、それだけではありません

切れた皮膚を縫合して閉鎖する。

それだけなら、それほど難しいことではありません。

しかし私が考えているのは、その先です。

「どうせ縫うなら、可能な限りきれいに仕上げてあげたい」

傷の深さや方向を見ながら、必要であれば皮下・真皮の層から丁寧に合わせます。

傷によっては、皮膚表面に縫合糸をできるだけ出さない方法を選ぶこともあります。

もちろん、どのような傷でも跡を完全になくせるわけではありません。

けがをした時点での傷の深さ、場所、組織損傷の程度、その後の治癒過程によって仕上がりは変わります。

それでも、

できることは、できるだけやってあげたい。

それが、今は「内科医」である竹内が、切り傷を縫うときにも変わらず持っている考え方です。


すべての切り傷を縫うわけではありません

もちろん、

「傷が開いている=全部縫う」

ではありません。

浅い傷で傷口がきれいに合っていれば、被覆材や医療用テープなどで治療できる場合があります。

一方、

  • 傷が深い
  • 傷口が大きく開いている
  • 出血が続いている
  • 皮下組織まで見えている
  • 傷の縁がずれている
  • 顔など傷あとが目立ちやすい場所

などでは、縫合を検討します。

縫った方がきれいになる傷なのか。
縫わない方がよい傷なのか。

実際の傷を見て判断します。


子どもの顔の傷は、特に慎重に考えます

子どもは転倒して、

額、眉の周囲、あごなどを切ることがあります。

「小さな子どもだから、できれば縫いたくない」

というご家族の気持ちもよく分かります。

縫わずに治せる傷であれば、無理に縫う必要はありません。

一方、深く開いた傷まで無理に被覆材だけで治療することが最善とは限りません。

子どもには、その先の長い人生があります。

だからこそ私は、

今だけではなく、その子が大人になったときの傷あとまで考えて治療方法を選びたい

と思っています。


指の傷は、皮膚だけ見てはいけません

指を深く切った場合には、

  • 神経
  • 血管

などが傷ついていないかも確認します。

「指が動かしにくい」

「感覚がおかしい」

「しびれている」

という場合には、皮膚より深い組織が損傷している可能性があります。

また、ドアに指を強く挟んだ場合には、爪の損傷だけでなく骨折を伴っていることもあります。

傷口だけでなく、

その指がきちんと機能しているか

まで診る必要があります。


傷では「消毒」以上に、洗浄と評価が重要です

けがをすると、

「とりあえず消毒!」

と思われがちです。

しかし傷の治療では、十分に洗浄し、

  • ガラス
  • その他の異物
  • 傷んだ組織

などが残っていないかを確認することが重要です。

傷の種類やワクチン接種歴によっては、破傷風についても考える必要があります。


当院ですべての外傷を治療するわけではありません

もちろん、何でもクリニックで治療するわけではありません。

  • 出血が止まらない
  • 大きな血管損傷が疑われる
  • 腱や神経の大きな損傷が疑われる
  • 複雑な骨折を伴っている
  • 広範囲の組織損傷がある
  • 専門的な形成外科・整形外科治療が必要

と判断した場合には、適切な医療機関をご紹介します。

当院で治療できる傷なのか。
専門病院で治療すべき傷なのか。

それを判断するのも私たちの役割です。


「救急車ほどではない。でも、この傷どうしよう?」というときに

切り傷で困るのが、

「救急車を呼ぶほどではない。でも、このままでいいのか分からない」

というときです。

そんなときは、一度ご相談ください。

「これは縫った方がよいです」

となることもあれば、

「これは縫わなくて大丈夫です」

となることもあります。

必要であれば傷を洗浄し、局所麻酔をして縫合します。

当院での治療が適切でなければ、専門医療機関をご案内します。

新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。

内科のクリニックですが、切った・擦った・やけどした。
そんな外傷も診ています。

そして縫うのであれば、

「閉じればいい」ではなく、可能な限りきれいに。

外科医だった頃から、それが私の傷に対する考え方です。

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自由診療シリーズ③ 二日酔いに五苓散+黄連解毒湯?|医師が昔から使っている「お酒の漢方」

自由診療シリーズ③

二日酔いに五苓散+黄連解毒湯?|医師が昔から使っている「お酒の漢方」

「飲み会の前に、何か飲んでおいた方がいいですか?」

仕事上の会食、歓迎会、送別会、友人との飲み会。

東新宿・新宿という場所柄もあり、お酒を飲む機会が多い方は少なくありません。

そんな患者さんから、

「二日酔いになりやすいんです」

「飲み会の前に、何か飲んでおいた方がいいですか?」

と聞かれることがあります。

ドラッグストアにはさまざまな商品が並んでいますが、医師や医療関係者の間では、昔から知られている漢方薬があります。

それが、

五苓散(ごれいさん)+黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

です。

実は私自身も、若い医師だった頃に先輩医師から教えてもらいました。


実は、どちらも正式な効能・効果に「二日酔」が入っています

ここは、一般の方には意外かもしれません。

医療用の五苓散。

そして、医療用の黄連解毒湯。

どちらも医薬品として認められている効能・効果の中に「二日酔」が明記されています。

つまり、

「なんとなく二日酔いに良さそう」

「昔から伝わる民間療法」

というだけの話ではありません。

きちんと医療用医薬品として使われている漢方薬です。


五苓散は「水」のバランスを考える漢方

お酒を飲んだ翌朝に、

「喉が渇く」

「頭が痛い」

「気持ちが悪い」

「顔がむくむ」

「なんとなく体が重い」

と感じた経験はないでしょうか。

五苓散は、漢方医学では体内の「水」の偏りを考えて使用する処方です。

医療用五苓散の効能・効果には、二日酔のほか、

  • 頭痛
  • 悪心
  • 嘔吐
  • めまい
  • 浮腫

なども含まれています。

二日酔いのときに経験する症状と、かなり重なるのが面白いところです。


黄連解毒湯は「のぼせ・ほてり」の方向から考える漢方

もう一つが、

黄連解毒湯。

名前だけ聞くと、

「アルコールを解毒してくれる薬?」

と思うかもしれません。

しかし、この「解毒」を、アルコールそのものを急速に分解して体外へ排出するという意味に捉えてはいけません。

黄連解毒湯は、比較的体力があり、のぼせぎみで顔が赤く、いらいらする傾向のある方などに用いられる漢方薬です。

そして黄連解毒湯にも、正式な効能・効果として

「二日酔」

が記載されています。


私にとっては、昔からの「黄金コンビ」です

実は私も若い頃には、お酒を飲み過ぎて、いろいろやらかしました(笑)。

そんな若い医師だった頃に、先輩医師から教えていただいたのが、

五苓散+黄連解毒湯

という組み合わせでした。

それ以来、自分自身でも飲酒の際に使ってきました。

これはあくまで私個人の経験であって、すべての方に同じ効果があるという意味ではありません。

それでも、私自身はこの組み合わせの良さを何度も実感してきました。

医師仲間や薬剤関係者との間でも話題になることのある組み合わせで、私にとっては今でも、

「お酒のときの黄金コンビ」

です。


五苓散3包+黄連解毒湯3包をセットにしました

そこで当院では、飲酒時のコンディションケアとして、

五苓散 3包

黄連解毒湯 3包

合計6包をセットにしました。

お酒の漢方セット 770円(税込)

「今日は飲み会がある」

「今週は会食が続く」

というときにも利用しやすいよう、必要な分だけの小さなセットにしています。

いずれも医療用の漢方薬ですので、医師が体調や服用中のお薬などを確認したうえでご案内します。


注射と組み合わせることもできます

当院では、飲酒前のコンディションケアを目的とした注射もご用意しています。

乾杯前コンディション注射 3,000円(税込)

さらに漢方も一緒に希望される場合には、

乾杯前コンディション注射+お酒の漢方セット 3,300円(税込)

でご案内します。

注射だけでも、漢方だけでも、両方を組み合わせても構いません。

その日の予定や体調に合わせて選んでいただけます。


ただし「これを飲めば、いくら飲んでも大丈夫」ではありません

ここは大切です。

五苓散や黄連解毒湯、あるいは注射を利用しても、

  • アルコールが急速に分解される
  • 血中アルコール濃度がすぐに下がる
  • 肝臓への負担がなくなる
  • 必ず二日酔いを防げる
  • いくら飲んでも安全になる

わけではありません。

一番の二日酔い対策は、飲み過ぎないことです。

どんな漢方薬や注射も、この原則に勝るものではありません。


漢方薬も「薬」です

「漢方だから副作用がない」と思われることがありますが、これは正しくありません。

漢方薬も医薬品です。

体質、持病、服用している薬などによっては、使用が適さない場合があります。

特に黄連解毒湯は、漫然と長期間服用する薬としてではなく、体質や症状を確認して使用することが大切です。

当院では医師が確認したうえでご案内します。


お酒をすすめたいわけではありません。でも、飲む機会はあります

もちろん医師として、

「たくさんお酒を飲みましょう」

とおすすめするつもりはありません。

でも現実には、

「今日は大切な取引先との会食」

「会社の歓迎会がある」

「どうしても断れない飲み会がある」

ということもあります。

そうした現実の生活を無視して、

「飲まなければいいでしょう」

だけで終わらせるのも、少し違うと私は思っています。

だからこそ、

飲み過ぎないことを大前提として、そのうえで上手にコンディションを整える。

そんな現実的な選択肢があってもよいと思います。

「五苓散と黄連解毒湯を試してみたい」

「漢方だけ欲しい」

「飲み会前に注射も一緒に受けたい」

という方は、診察時にお気軽にご相談ください。

新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。

五苓散+黄連解毒湯。
派手な組み合わせではありませんが、私にとっては昔から馴染みのある「お酒のときの黄金コンビ」です。

※効果の感じ方には個人差があります。飲酒や二日酔いによる症状を完全に予防・改善することを保証するものではありません。

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呼吸器シリーズ 咳止めを飲んでも咳が止まらない|「咳を止める」より原因を探すことが大切です

呼吸器シリーズ

咳止めを飲んでも咳が止まらない|「咳を止める」より原因を探すことが大切です

咳止めを飲んでいるのに、なぜ咳が止まらないのでしょうか?

「咳止めをもらったけれど、全然咳が止まらない」

「薬がなくなると、また咳が出てくる」

「もう何週間も咳止めを飲み続けている」

このようなご相談は、当院でもよくあります。

咳がつらければ、まず「咳を止めたい」と思うのは当然です。

しかし、咳が長引いている場合には、

「どの咳止めを使うか」よりも、「なぜ咳が出ているのか」を考えることの方が大切です。


そもそも、咳は「病気」ではなく症状です

咳そのものが病名なのではありません。

咳は、気道に入った異物や分泌物などを外へ出そうとする身体の防御反応です。

ですから、咳を起こしている原因が残っていれば、咳止めだけを飲んでもなかなか改善しないことがあります。

もちろん、夜も眠れないほど強い咳などでは、症状を和らげるために鎮咳薬を使うこともあります。

しかし、それはあくまで「咳という症状」を抑える治療です。

原因そのものを治療しているとは限りません。


長引く咳には、たくさんの原因があります

咳が長引く病気は、ひとつではありません。

例えば、

  • 風邪や新型コロナなどの後に続く感染後咳嗽
  • 気管支喘息
  • 咳喘息
  • アトピー咳嗽
  • 鼻副鼻腔炎や後鼻漏
  • 胃食道逆流症(GERD)
  • COPD
  • 気管支拡張症
  • 肺炎
  • マイコプラズマや百日咳などの感染症
  • 結核・非結核性抗酸菌症
  • 間質性肺炎
  • 薬剤による咳
  • 肺がんなどの胸部悪性腫瘍

など、さまざまです。

しかも実際には、原因がひとつとは限りません。

例えば、

「鼻炎+喘息」

「GERD+咳喘息」

のように、複数の原因が重なっていることもあります。

だからこそ、

「咳がある→咳止めを出す」

だけでは解決しない患者さんがいるのです。


「咳=咳喘息」と決めつけるのも危険です

最近は「咳喘息」という病名が広く知られるようになりました。

そのため、

「咳が長引いています」

というだけで、

「では咳喘息でしょう」

と診断され、吸入薬を処方されているケースも見かけます。

もちろん、本当に咳喘息であれば適切な吸入治療が必要です。

しかし、長引く咳の原因は咳喘息だけではありません。

先週の記事でもお話ししたように、

咳喘息という診断そのものが本当に正しいのか、一度立ち止まって考えることが大切です。


咳の診療では「いつ、どんな咳が出るか」が重要です

咳の原因を考えるときには、咳の出方が大きなヒントになります。

例えば、

「夜から明け方に咳が強い」

「運動すると咳が出る」

「冷たい空気を吸うと咳が出る」

「横になると咳が出る」

「食後に咳が増える」

「鼻水が喉へ落ちる感じがする」

「痰が多い」

「風邪をひいてからずっと咳だけ残っている」

などです。

さらに、

  • 喫煙歴
  • アレルギー歴
  • 喘息の既往
  • 鼻炎・副鼻腔炎
  • 胸やけ
  • 服用中の薬
  • 職場環境
  • ペット
  • 症状が始まった時期

なども重要です。

咳の診療では、こうした情報を丁寧に整理することが診断への第一歩になります。


必要に応じて、きちんと検査します

診察だけで原因が明らかになる場合もありますが、長引く咳では検査が必要になることがあります。

当院では、症状に応じて、

  • 胸部レントゲン
  • 呼吸機能検査
  • FeNO(呼気一酸化窒素)検査
  • 血液検査
  • 感染症検査

などを組み合わせて評価します。

FeNOは、気道に好酸球性炎症があるかを考える際の参考になります。

ただし、

FeNOが高い=咳喘息

と単純に診断できるわけではありません。

問診、診察、画像、呼吸機能などを合わせて考える必要があります。

必要に応じて、CTなどの精密検査が可能な医療機関へご紹介することもあります。


「レントゲンが正常だから大丈夫」とも限りません

胸部レントゲンは非常に重要な検査ですが、レントゲンに異常がなければ咳の原因がすべて否定できるわけではありません。

喘息や咳喘息、アトピー咳嗽、後鼻漏、胃食道逆流症などでは、胸部レントゲンが正常なことも珍しくありません。

一方で、肺炎、肺がん、結核、間質性肺炎など、画像検査が診断の手がかりになる病気もあります。

だからこそ、

「とりあえず咳止め」でも、「とりあえず吸入薬」でもなく、その方に必要な検査を選ぶことが大切です。


咳止めが効かないこと自体が、診断のヒントになることもあります

咳止めを飲んでも咳が続く。

これは単純に、

「もっと強い咳止めが必要」

という意味とは限りません。

気管支が狭くなっているのであれば、その治療が必要です。

鼻や副鼻腔に原因があるのであれば、そちらを治療する必要があります。

胃食道逆流が関係しているのであれば、咳止めだけでは改善しません。

感染後に気道の過敏性が長く残っている場合もあります。

つまり、

咳止めが効かないときこそ、薬を強くする前に「なぜ咳が出ているのか」をもう一度考える必要があります。


このような咳は、早めに受診してください

咳と一緒に、

  • 息苦しさがある
  • 胸が痛い
  • 血痰が出る
  • 高い熱が続く
  • 酸素飽和度が低い
  • 体重が減ってきた
  • 食欲低下や強い倦怠感がある
  • 咳が徐々に悪化している

といった症状がある場合には、単なる長引く咳として様子をみない方がよいことがあります。

特に強い呼吸困難や大量の喀血などがある場合には、救急診療が必要です。


咳止めを探し続ける前に、咳の原因を探しましょう

咳がつらいと、

「とにかく咳を止めてほしい」

と思うのは当然です。

私たちも、つらい咳はできるだけ早く楽にしたいと考えています。

しかし、長く続いている咳ほど、

「咳を止めること」と「咳の原因を治すこと」は分けて考える必要があります。

咳止めを何度飲んでも改善しない。

吸入薬を使っているのに咳が続く。

咳喘息と言われたけれど、本当にそうなのか疑問がある。

そんな方は、一度原因から見直してみましょう。

新宿イーストサイドたけうち内科では、長引く咳について、問診・診察だけで決めつけず、必要な検査を組み合わせながら原因を考えていきます。

当院は東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階です。

咳止めが効かないとき、「もっと強い咳止め」ではなく、「なぜ咳が出ているのか」を考えることが大切です。

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生活習慣病シリーズ 血圧の薬は一度飲み始めたら一生?|降圧薬を飲む意味を考えてみましょう

生活習慣病シリーズ

血圧の薬は一度飲み始めたら一生?|降圧薬を飲む意味を考えてみましょう

「血圧の薬を飲み始めたら、一生やめられないんですよね?」

高血圧の診療をしていると、本当によく聞く言葉です。

健診で血圧が高いと言われても、

「一度薬を始めたら一生になるから、まだ飲みたくない」

「薬なしではいられなくなるのでは?」

「私は薬を飲まない主義です」

という方もいらっしゃいます。

まず最初にお伝えしたいのは、

「降圧薬を一度飲み始めたら、必ず一生飲み続ける」というのは正しくありません。

条件が整えば、薬を減らしたり、中止したりできる方もいます。

でも私は、もう一歩違うところから考えてほしいと思っています。


そもそも、何のために血圧を下げるのでしょうか?

血圧を下げる目的は、血圧計に表示される数字をきれいにすることではありません。

大きな目的のひとつは、

血管や臓器を高い圧力から守り、できるだけ長持ちさせることです。

血管には、毎日血液の圧力がかかっています。

その圧力が高い状態が何年、何十年と続けば、血管や心臓、腎臓への負担が積み重なります。

その結果、

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • 心筋梗塞
  • 心不全
  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 大動脈瘤
  • 大動脈解離

などにつながる可能性があります。

車なら、傷んだ部品を新品に交換できます。

しかし、人間の血管、心臓、腎臓はそう簡単には交換できません。

一度大きな病気を発症すると、命に関わるだけではなく、その後の生活の質(QOL)が大きく損なわれることがあります。

だから、高血圧は症状がないうちから管理する必要があるのです。


降圧薬に「依存」するわけではありません

降圧薬を飲み始めたために、身体が薬なしでは血圧を下げられなくなるわけではありません。

薬をやめると血圧が上がることがあるのは、

薬に依存したからではなく、もともとの高血圧が残っているからです。

ですから、

「薬を飲んだら最後」

という考え方をする必要はありません。

必要な時期には薬を使って血圧を下げる。

生活習慣や体重、年齢、病気の状態が変化したら、その時点でまた薬の量を見直す。

私は、それでよいと思っています。


実は「一生同じ降圧薬を飲み続ける」とは限りません

人間の身体は、年齢とともに変化します。

心臓、血管、腎臓にも加齢による変化が起こります。

高齢になると心不全や慢性腎臓病(CKD)などを抱える方も増え、若い頃と同じ血圧、同じ薬の量が適切とは限らなくなります。

体重が減ったり、食事量が変わったり、別の病気が加わったりすることもあります。

その結果、降圧薬を減らしたり、中止したりする必要が生じることもあります。

つまり、

「50歳で降圧薬を始めたら、90歳まで同じ薬を同じ量で飲み続ける」

という話ではありません。

私はむしろ、

一生降圧薬を飲めるくらい元気でいられるなら、それは決して悪いことではない

と思っています。


降圧薬は「将来の自分への投資」だと、私は考えています

これは私個人の考え方ですが、

もし私自身に治療が必要な高血圧があれば、私は降圧薬の内服を受け入れます。

理由は単純です。

将来の脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などのリスクを少しでも下げたいからです。

毎日薬を飲むことには、多少の手間があります。

薬には副作用の可能性もあります。

費用もかかります。

それでも、それによって将来の大きな病気のリスクを下げられるのであれば、私はその選択をします。

私にとって降圧薬は、

「将来の自分への投資」

です。

そして、

「人生のリスクマネジメント」

でもあります。


「薬を飲まない」という選択にも、リスクがあります

ここは、とても大切です。

薬には副作用がある。

だから薬を飲みたくない。

これは理解できます。

しかし、

「薬を飲まない」という選択が、リスクゼロというわけではありません。

治療が必要な高血圧をそのままにすることにも、将来の脳卒中、心臓病、腎臓病などのリスクがあります。

つまり比較するべきなのは、

「薬を飲む」か「薬を飲まない」か、

だけではありません。

薬を飲むことによるリスクと、治療しないことによるリスク。

この両方です。


今は「医師に言われたから薬を飲む」時代ではありません

昔の医療であれば、

「何を言っているんですか。血圧が高いんだから、ちゃんと薬を飲みなさい!」

と医師が強く治療を勧めることも多かったと思います。

今は、患者さん本人の意思を尊重して治療方針を決める時代です。

「薬を飲みたくない」

という意思も尊重されます。

もちろん、それ自体はとても大切なことです。

一方で私は、

ある意味では、とても厳しい時代になった

とも感じています。

医師が一方的に治療を決めるのではなく、自分自身で説明を聞き、自分自身で判断する。

そして、その選択の結果を最も大きく受けるのは、将来の自分自身だからです。


「薬を飲まない主義」だけで決めてしまわないでください

「私はできるだけ薬を飲まない主義なんです」

というお話も、診察室ではよく聞きます。

その考え方を否定するつもりはありません。

しかし、治療が必要かどうかは「主義」ではなく、できれば医学的なリスクを見て判断してほしいと思います。

血圧はいくつなのか。

家庭血圧はどうなのか。

年齢は。

糖尿病は。

腎機能は。

コレステロールは。

喫煙は。

心臓病や脳卒中の既往は。

こうした条件によって、同じ血圧でも将来のリスクは大きく異なります。

医師の仕事は、

「とにかく薬を飲ませること」

ではありません。

その方にどの程度のリスクがあり、治療によって何を減らせる可能性があるのかを説明することです。

その情報を知ったうえで、最終的にどうするかを一緒に考えます。


生活習慣の改善で、薬を減らせることもあります

もちろん、血圧を下げる方法は薬だけではありません。

  • 減塩する
  • 体重を減らす
  • 適度に運動する
  • 飲酒量を見直す
  • 禁煙する
  • 睡眠を改善する

こうした生活習慣の改善で、血圧が大きく下がる方もいます。

特に肥満のある方では、減量によって降圧薬を減らせることもあります。

ですから当院では、

「薬か、生活習慣か」ではなく、両方を使って将来のリスクを下げる

という考え方を大切にしています。


2025年から、血圧管理の目標も変わっています

日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、一般的な降圧目標として、

診察室血圧:130/80mmHg未満

家庭血圧:125/75mmHg未満

が示されています。

もちろん、やみくもに血圧を下げればよいわけではありません。

年齢、体調、合併症、立ちくらみなどを確認しながら、一人ひとりに合わせて調整します。

重要なのは、

「症状がないから高い血圧を放置してよい」ということではない

ということです。


まず、本当に高血圧なのかを確認しましょう

一方で、健診で一度血圧が高かっただけで、全員がすぐ薬を飲む必要があるわけではありません。

病院や健診では緊張によって血圧が上がる「白衣高血圧」もあります。

そのため当院では、診察室の血圧だけではなく、家庭血圧を重視しています。

本当に高血圧なのか。

生活習慣の改善で経過をみられるのか。

薬を始めた方がよい段階なのか。

他に心血管リスクはないのか。

そこまで確認して、治療方針を考えます。


血圧の薬を一生飲むかどうかは、今日決めなくてよいのです

「薬を飲み始めたら一生だから……」

と考えて、治療そのものから逃げる必要はありません。

今日必要なら、今日治療する。

将来、体重や生活習慣、家庭血圧、身体の状態が変われば、そのときにまた治療を見直す。

それでよいのです。

ただし、血圧が下がったからといって、自己判断で薬を中止することはおすすめしません。

薬が効いているために血圧が正常になっている可能性があるからです。

減量や中止についても、家庭血圧を見ながら医師と相談してください。


高血圧治療は、将来の自分を守るためのリスクマネジメントです

私は、高血圧治療を

「薬を飲むための治療」

だとは考えていません。

目標は、

10年後、20年後もできるだけ元気に生活できる身体を守ること。

そのために、薬が必要なら使う。

生活習慣を改善する。

減らせる状況になれば減らす。

必要がなくなれば中止を検討する。

大切なのは、

薬を飲むことを怖がることでも、薬を飲まないことにこだわることでもありません。

正しい情報を知り、

「薬を飲むリスク」と「治療しないリスク」の両方を比較して、

自分自身で冷静に選択することです。

「血圧の薬を始めるべきか迷っている」

「できれば薬を飲みたくないので相談したい」

「今飲んでいる薬を減らせないか知りたい」

という方も、家庭血圧の記録や健診結果をご持参のうえ、お気軽にご相談ください。

新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。

降圧薬は、今日の数字を下げるためだけの薬ではありません。将来の自分を守るための選択肢のひとつです。

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