生活習慣病シリーズ⑤
お盆休みに薬が切れそうな方へ|高血圧・糖尿病の薬を自己判断で中断しないで
お盆休みの前に、お薬の残りを確認しましたか?
お盆休みに入り、帰省や旅行を予定している方も多いと思います。
一方で、この時期になると、
「帰省先で薬がなくなることに気づいた」
「かかりつけの病院が休みだった」
「数日くらい飲まなくても大丈夫だと思った」
「旅行に薬を持ってくるのを忘れた」
というご相談が増えます。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈などの病気は、お盆休みだからといって休んでくれるわけではありません。
症状がないからと自己判断で薬を中断すると、血圧や血糖値が悪化したり、病気によっては脳梗塞や心不全などにつながったりする可能性があります。
お盆休みに入る前に、まず薬の残りを確認しましょう。
「数日くらい飲まなくても大丈夫」とは限りません
薬を何日か飲まなかったときの影響は、薬の種類や病気の状態によって異なります。
一度飲み忘れただけで、直ちに重大な問題が起こるとは限りません。
しかし、
「症状がないから、しばらく飲まなくてもよい」
「休みの間だけ中断しよう」
と考えるのはおすすめできません。
特に注意が必要なのは、
- 高血圧の薬
- 糖尿病の薬やインスリン
- 心不全の薬
- 不整脈の薬
- 心房細動などに対する抗凝固薬
- 狭心症の薬
- ステロイド薬
- てんかんの薬
などです。
薬によっては、急に中断することで病状が悪化することがあります。
反対に、食事が十分に取れない、嘔吐や下痢が続く、脱水状態になっているときには、いつも通り服用すると低血糖や腎機能悪化などの問題が起こる薬もあります。
「飲む」「中止する」のどちらも、自己判断ではなく、そのときの体調と薬の種類に応じた判断が必要です。
血圧の薬を休むと、すぐ症状が出ますか?
降圧薬を中断して血圧が上がっても、頭痛やめまいなどの症状が必ず現れるわけではありません。
かなり血圧が高くても、本人は何も感じないことがあります。
そのため、
「薬を飲まなくても体調は変わらなかった」
「自分には薬が必要なかったのではないか」
と思ってしまう方がいます。
しかし、血圧の薬を飲む目的は、今ある症状を取ることだけではありません。
高い血圧による負担から血管、心臓、脳、腎臓を守り、将来の脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などを予防することが大きな目的です。
症状がないことと、血圧が正常であることは同じではありません。
お盆休み中も、できる範囲で家庭血圧を測定し、処方された薬を続けましょう。
糖尿病の薬は、食事量や体調にも注意が必要です
お盆休みには、外食や会食が増え、普段より食事量や飲酒量が増えることがあります。
一方で、暑さや感染症によって、
- 食欲がない
- 食事がほとんど取れない
- 嘔吐や下痢がある
- 発熱している
- 水分が取れない
という状態になることもあります。
糖尿病の薬やインスリンを使用している方は、食事量が大きく変わったときに注意が必要です。
薬の種類によっては低血糖や脱水を起こしたり、体調不良時に休薬を検討したりする場合があります。
ただし、すべての糖尿病薬を一律に中止するわけではありません。
食事が取れないからとインスリンを自己判断で完全に中止すると、かえって重い高血糖を招く場合もあります。
糖尿病の薬を服用中で、食事や水分が取れない、嘔吐や下痢が続く、血糖値が著しく高いという場合は、医療機関へご相談ください。
心房細動の「血液をサラサラにする薬」も自己中断しないでください
心房細動に対する抗凝固薬は、心臓の中に血栓ができることを防ぎ、脳梗塞の危険を減らすために使用します。
動悸がなくても、脈が正常に感じられても、医師の指示なく中断してはいけません。
「出血が心配だから旅行中だけ休もう」
「歯科治療があるので自分で止めた」
という判断も危険です。
抗凝固薬を中断する必要があるか、いつから再開するかは、治療内容や出血の危険性、脳梗塞のリスクを考えて判断します。
予定している手術や歯科治療がある場合は、処方した医師と治療を担当する医師・歯科医師へ事前に相談してください。
飲み忘れた分を、まとめて飲まないでください
薬を飲み忘れたことに気づいたとき、
「朝の分と夜の分を一緒に飲もう」
「昨日の分も取り戻したい」
と考える方がいます。
しかし、原則として、2回分を一度にまとめて飲んではいけません。
薬によって、飲み忘れたときの対応は異なります。
一般的には、気づいた時点で1回分を服用しますが、次の服用時間が近い場合には、飲み忘れた分を飛ばすことがあります。
1日1回の薬、1日2回の薬、食前薬、週1回の薬、注射薬では、それぞれ対応が異なります。
判断に迷ったときは、薬の説明書を確認するか、処方した医療機関または薬局へお問い合わせください。
旅行や帰省へ持っていくもの
旅行や帰省の際には、薬だけを裸の状態で持っていくのではなく、次のものも一緒に携帯しましょう。
- 滞在日数より少し余裕を持った薬
- お薬手帳
- 薬の説明書
- 健康保険証またはマイナ保険証
- 糖尿病連携手帳や血圧手帳
- インスリンや注射薬に必要な器具
- 緊急時の連絡先
スマートフォンのお薬手帳を利用している方は、旅行先でも確認できる状態にしておきましょう。
処方内容が分かる薬袋や明細を、スマートフォンで撮影しておく方法もあります。
海外へ薬を持参する場合には、持ち込みが制限されている薬もあるため、渡航先の規則を事前に確認してください。
薬は手荷物として持ち歩きましょう
飛行機や長距離移動では、常用薬を預け荷物だけに入れないことも大切です。
荷物の遅延や紛失が起きると、薬を服用できなくなる可能性があります。
少なくとも移動中と数日分の薬は、すぐ取り出せる手荷物へ入れてください。
インスリンなど温度管理が必要な薬は、凍結や高温を避け、薬ごとの保管方法を確認します。
夏の車内は非常に高温になるため、薬を長時間置いたままにしないでください。
旅行先で薬をなくしたら、どうすればよいですか?
薬を紛失した、置き忘れた、予定より滞在が長くなったという場合は、そのまま何日も服用せずに過ごすのではなく、現地の医療機関へ相談してください。
その際、
- お薬手帳
- 薬袋
- 処方内容の写真
- マイナ保険証
- これまでの検査結果
などがあると、使用している薬を確認しやすくなります。
錠剤の色や形だけでは、薬を正確に特定できないことがあります。
「白い血圧の薬」
「小さな丸い錠剤」
だけでは、同じ薬を安全に処方できない場合があります。
日頃から、自分が何の病気で、何という薬を飲んでいるか確認しておくことが大切です。
お盆休み前の「薬チェックリスト」
帰省や旅行へ出発する前に、次の点を確認してください。
- 帰宅日まで薬が足りるか
- 予備の薬が必要か
- 朝・昼・夕・就寝前の飲み方を理解しているか
- 飲み忘れた場合の対応を確認しているか
- 食事が取れないときの対応を聞いているか
- 薬を手荷物へ入れたか
- お薬手帳を持ったか
- 血圧計や血糖測定器が必要か
- 旅行中の受診先を確認したか
薬が不足しそうなことに気づいたら、出発直前まで待たず、早めにかかりつけ医へ相談しましょう。
休みの日ほど、生活習慣も崩れやすくなります
お盆休みは、薬だけでなく生活習慣も乱れやすい時期です。
帰省先でのごちそう、外食、飲酒、夜更かし、長時間の移動が重なると、血圧や血糖値、尿酸値などが悪化することがあります。
すべてを厳しく制限する必要はありません。
ただし、
- 食べ過ぎを何日も続けない
- 塩分の多い料理を重ねない
- 飲酒量を決めておく
- 水分を十分に取る
- 長時間座り続けない
- 可能な範囲で歩く
- 睡眠時間を確保する
といったことを意識しましょう。
休みを楽しみながら、治療も休まない。
そのバランスが大切です。
お盆休みも、病気は休んでくれません
薬を毎日飲むことを、面倒に感じる日もあると思います。
旅行や帰省中くらい薬のことを忘れたい、という気持ちも理解できます。
しかし、高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈などの治療は、将来の脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などを予防するために続けています。
お盆休みでも、病気が休みになるわけではありません。
旅行や帰省を安心して楽しむためにも、出発前に薬の残りと服用方法を確認してください。
薬が足りない、飲み忘れたときの対応が分からない、体調不良時に薬を続けてよいか迷うという方は、自己判断せずご相談ください。
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休みを楽しみながら、治療は休まない。出発前に、お薬の確認を。












