呼吸器シリーズ③
夏休み中の喘息発作に注意|吸入薬を休まず、息苦しいときは早めの受診を
夏休みに入ると、喘息の治療も休んでいませんか?
明日からお盆休みという方も多いと思います。
帰省や旅行、レジャーなど、楽しみにしていた予定がある一方で、生活環境が大きく変わる時期でもあります。
喘息のある方から、
「旅行中くらい吸入薬を休んでも大丈夫ですか?」
「最近は咳も出ていないので、吸入薬を持っていきませんでした」
「帰省先で息苦しくなったけれど、いつもの病院が休みなので我慢しました」
というお話を伺うことがあります。
しかし、喘息は、症状がないときにも気道の炎症が残っていることがあります。
調子がよいからと吸入薬を自己判断で中断すると、旅行先で咳や喘鳴、呼吸困難が突然悪化する可能性があります。
夏休みを楽しむためにも、喘息の治療は休まないでください。
症状がないのは、治療が効いているからかもしれません
喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症があり、さまざまな刺激によって気道が狭くなる病気です。
症状が悪化すると、
- 咳が続く
- 「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と音がする
- 息が苦しい
- 胸が締め付けられる
- 夜間や明け方に咳で目が覚める
といった症状が現れます。
吸入ステロイド薬などの長期管理薬は、今ある咳だけを止める薬ではありません。
気道の炎症を抑え、将来の発作を予防するための薬です。
「最近は調子がよいから、もう治った」
と思って薬を中断すると、抑えられていた気道の炎症が再び悪化することがあります。
症状がないことは、薬が不要になった証拠ではなく、治療によって良い状態を維持できている結果かもしれません。
薬を減らす、または中止する場合も、自己判断ではなく、症状や呼吸機能を確認したうえで判断します。
夏休みには、喘息を悪化させる要因が増えます
旅行や帰省では、普段とは異なる環境で過ごすことになります。
例えば、
- 帰省先の布団やカーペットにいるダニ
- 実家で飼っている犬や猫
- ほこりやカビ
- 冷房による冷気
- 急な温度差
- 花火やバーベキューの煙
- たばこや加熱式たばこの煙
- 香水や芳香剤
- 長時間の移動による疲労
- 睡眠不足
- 飲酒
- 風邪、新型コロナ、インフルエンザなどの感染症
が、喘息悪化のきっかけになることがあります。
いつもの自宅では症状がなくても、帰省先へ着いた途端に咳や鼻水が出始めることもあります。
「昔から使っている布団だから大丈夫」
とは限りません。
久しぶりに使用する寝具には、ダニやほこりがたまっていることがあります。
喘息やアレルギー性鼻炎のある方は、寝具や部屋の環境にも注意してください。
旅行には、毎日の吸入薬と発作時の薬を持参しましょう
旅行や帰省へ出かける際は、普段使用している薬を忘れずに持参してください。
確認してほしいものは、
- 毎日使用する吸入薬
- 発作時に使用する吸入薬
- 内服薬
- お薬手帳
- 喘息の治療内容が分かる薬袋や説明書
- スペーサーなどの吸入補助器具
- ピークフローメーターを使用している方は測定器
です。
吸入薬の残量も確認しましょう。
吸入器の中に薬が残っているように見えても、規定回数を使い切っている場合があります。
残量カウンターがある製品は、出発前に数字を確認してください。
薬は、できるだけすぐに取り出せる手荷物へ入れます。
自家用車で移動する場合も、夏の車内は非常に高温になるため、吸入薬を長時間置いたままにしないでください。
発作時の吸入薬は、処方された方法で使用してください
喘息発作が起きたときには、医師から指示されている発作時の吸入薬を使用します。
ただし、発作時の対応は、使用している薬や治療方法によって異なります。
短時間作用性の気管支拡張薬を使用する方もいれば、吸入ステロイド薬と気管支拡張薬の配合剤を、発作時にも追加吸入する治療を行っている方もいます。
「家族が使っている吸入薬を借りる」
「以前処方された古い吸入薬を適当に使う」
「苦しいので指示された回数を超えて何度も吸入する」
ことは避けてください。
旅行前に、
- どの薬を毎日使うのか
- 発作時にはどの薬を使うのか
- 何回吸入するのか
- どの段階で医療機関を受診するのか
を確認しておきましょう。
吸入して少し楽になっても、安心できないことがあります
発作時の吸入薬を使用すると、一時的に呼吸が楽になることがあります。
しかし、
- 効果が短時間しか続かない
- いつもより頻繁に吸入が必要
- 吸入しても十分に改善しない
- 夜間に何度も目が覚める
- 横になると苦しい
- 咳や喘鳴が次第に強くなる
という場合は、喘息の悪化が進んでいる可能性があります。
吸入するたびに少し改善するからと、旅行先のホテルや自宅で何時間も様子を見続けてはいけません。
発作時の薬がいつもより効かないこと自体が、受診を考えるサインです。
このような症状は、救急診療が必要です
次のような状態では、休み明けまで待たず、救急対応が可能な医療機関を受診してください。
- 苦しくて横になれない
- 短い文章を続けて話せない
- 歩くだけで強く息切れする
- 呼吸が速く、息を整えられない
- 発作時の吸入薬を使っても改善しない
- 吸入薬の効果が長く続かない
- 胸や首の筋肉を大きく動かして呼吸している
- 顔色が悪い
- 唇が紫色になっている
- 意識がぼんやりしている
- ぐったりして動けない
動けない、会話ができない、意識がおかしい、唇が紫色になっている場合には、ためらわず119番へ連絡してください。
ご自身で車を運転して受診してはいけません。
「喘息だと思う」だけで済ませてはいけない呼吸困難もあります
咳や息苦しさ、胸の圧迫感があると、
「いつもの喘息だろう」
と思う方がいます。
しかし、呼吸困難を起こす病気は喘息だけではありません。
- 肺炎
- 新型コロナやインフルエンザ
- 自然気胸
- 肺血栓塞栓症
- 心不全
- 不整脈
- 狭心症や心筋梗塞
- アナフィラキシー
などでも、息苦しさや胸部症状が現れます。
特に、
- 突然、片側の胸が痛くなった
- 深呼吸すると胸が痛い
- 胸が締め付けられる、圧迫される
- 冷汗や吐き気がある
- 片脚だけが腫れている
- じんましんや顔・唇の腫れを伴う
- 高熱や強いだるさがある
という場合は、喘息と決めつけず、早急な診察が必要です。
喘息の既往がある方でも、今回の症状が必ず喘息とは限りません。
咳だけで「咳喘息」と決めることもできません
「長引く咳=咳喘息」と考え、検査をせずに吸入薬だけを続けている方も少なくありません。
しかし、咳の原因には、
- 感染後咳嗽
- アトピー咳嗽
- 副鼻腔炎や後鼻漏
- 胃食道逆流症
- 肺炎
- 非結核性抗酸菌症
- 肺がん
- 心不全
- 服用している薬の影響
など、さまざまなものがあります。
吸入薬を使用しても咳が改善しない場合には、薬を増やす前に、そもそも診断が正しいかを見直す必要があります。
当院では、問診と聴診だけで咳喘息と決めるのではなく、必要に応じて胸部エックス線、呼吸機能検査、呼気一酸化窒素検査(FeNO)などを組み合わせて原因を確認します。
夏休み中も、体調不良を我慢しないでください
当院は、8月14日(金)から8月18日(火)まで夏季休診となります。
8月19日(水)から通常どおり診療いたします。
休診期間中も、喘息やほかの病気が休みになるわけではありません。
咳や喘鳴が軽く、処方されている発作時の薬で速やかに改善し、その後も安定している場合は、無理をせず休養してください。
一方で、
「いつもの薬が効かない」
「だんだん息苦しくなっている」
「朝まで待つのが不安」
という場合には、当院の診療再開を待たず、休日診療所や救急対応が可能な医療機関へご相談ください。
重い症状がある場合は119番へ連絡してください。
夏休みを楽しむために、喘息治療は休まない
喘息の治療は、発作が起きてから苦しさを取るだけのものではありません。
毎日の治療によって気道の炎症を抑え、発作を起こさない状態を維持することが大切です。
「調子がよいから吸入薬を休む」
のではなく、
「調子がよい状態を守るために、吸入薬を続ける」
と考えてください。
旅行前には、薬の残量、吸入方法、発作時の対応を確認しましょう。
夏休み明けに、
- 旅行中に咳や息苦しさが出た
- 発作時の吸入薬を何度も使った
- 夜間や明け方の咳が増えた
- これまでの治療で十分に改善しない
- 本当に喘息なのか確認したい
という方は、ご相談ください。
新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。
楽しい夏休みにするために、毎日の吸入薬と発作時の薬を忘れずに。息苦しいときは、休み明けまで我慢しないでください。












