呼吸器シリーズ
エアコンをつけると咳が出る|夏の長引く咳は「咳喘息」だけではありません
エアコンを使い始めてから、咳が続いていませんか?
暑い日が続き、エアコンを一日中使用する機会が増えています。
そのような時期に、
「エアコンをつけると咳が出る」
「職場に戻ってから咳が続いている」
「夜や明け方になると咳がひどくなる」
「熱はないのに、息苦しさがある」
「風邪は治ったのに、咳だけが残っている」
と受診される方が増えます。
エアコンによる乾燥や冷たい空気で、一時的に咳が出ることはあります。
しかし、咳が長引いている場合に、
「エアコンで喉が乾燥しただけ」
「以前も咳喘息と言われたから、今回も咳喘息だろう」
と決めつけることはおすすめできません。
エアコンで咳が出る原因は、一つではありません
エアコンを使用しているときに咳が出る場合、次のような原因が考えられます。
- 冷たい空気や乾燥による気道への刺激
- 咳喘息や気管支喘息
- 新型コロナやインフルエンザなどの感染症
- 感染後に残る咳
- 鼻水が喉へ流れる後鼻漏
- 逆流性食道炎
- 室内のほこり、ダニ、カビ
- 夏型過敏性肺炎
- 肺炎
- 非結核性抗酸菌症
- 肺がんなどの肺疾患
- 心不全など、心臓が原因となる咳
同じ「咳」という症状でも、原因によって必要な検査や治療は異なります。
冷たい空気で咳が出るのは、喘息の手掛かりになります
気管支喘息や咳喘息では、気道がさまざまな刺激に対して過敏になっています。
そのため、
- エアコンの冷たい風
- 急な温度変化
- ほこりやハウスダスト
- カビ
- 煙や強いにおい
- 運動
- 夜間や早朝
などをきっかけに、咳が出ることがあります。
「エアコンをつけると咳が出る」という情報は、喘息を考えるうえで大切な手掛かりの一つです。
ただし、それだけで咳喘息と診断できるわけではありません。
「咳=咳喘息」と安易に決めつけないことが大切です
長引く咳で医療機関を受診すると、十分な検査を行わずに「咳喘息でしょう」と診断され、吸入ステロイド薬が処方されることがあります。
もちろん、本当に咳喘息であり、吸入治療が必要な方もいます。
一方で、他院で咳喘息と診断された方や、以前に咳喘息と言われたことがある方の中には、その診断をあらためて検討した方がよいケースも少なくありません。
吸入薬を使用しても咳が改善しない場合には、
「薬が弱いから」
「治療期間が足りないから」
と考える前に、そもそも咳の原因が喘息なのかを確認する必要があります。
胸部レントゲン、呼吸機能検査、呼気NO検査などを行い、ほかの病気が隠れていないかを確認することが大切です。
夏に注意したい「夏型過敏性肺炎」
夏に咳が続くとき、忘れてはいけない病気の一つが夏型過敏性肺炎です。
過敏性肺炎は、空気中に存在するカビや細菌などに由来する物質を繰り返し吸い込むことで、肺にアレルギー性の炎症が起こる病気です。
夏型過敏性肺炎では、湿気の多い住宅環境などに発生するカビが関係することがあります。
主な症状は、
- 乾いた咳
- 息切れ
- 発熱
- だるさ
- 階段や坂道での息苦しさ
などです。
風邪や咳喘息と間違われることもあります。
自宅を離れると軽くなり、帰ると悪化しませんか?
夏型過敏性肺炎を疑う重要な手掛かりは、症状と環境との関係です。
例えば、
「旅行中は咳が軽くなった」
「入院や帰省で自宅を離れると調子がよい」
「自宅へ戻ると、また咳や発熱が出る」
「平日は調子がよいのに、休日に自宅で過ごすと悪化する」
といった変化がみられることがあります。
反対に、職場のエアコンや室内環境が関係している場合には、
「休暇中はよかったのに、職場へ戻ったら咳が再び出た」
ということもあります。
エアコンそのものが原因とは限りません。
大切なのは、症状が「どこで」「いつ」悪化するのかを整理することです。
エアコン掃除だけで様子を見てよいとは限りません
フィルターの清掃、室内の換気、カビや結露への対策は大切です。
しかし、すでに肺に炎症が起きている場合には、掃除だけで済ませず、医療機関での評価が必要になります。
また、掃除をするときに大量のほこりやカビを吸い込んでしまう可能性もあります。
強い咳や息苦しさがある方は、無理に自分で掃除を行わず、まずご相談ください。
夏の咳には、感染症もあります
夏だからといって、新型コロナやインフルエンザなどの感染症がなくなるわけではありません。
咳に加えて、
- 発熱
- 喉の痛み
- 鼻水
- 頭痛
- 関節痛
- 強いだるさ
などがある場合には、感染症も考える必要があります。
当院では、新型コロナについて、NEAR法による迅速型の核酸増幅検査と抗原検査をご用意しています。インフルエンザの迅速抗原検査も実施可能です。
発熱がある方は、事前にご予約のうえ、発熱外来を受診してください。
このような咳は、早めに受診してください
次のような症状がある場合は、単なるエアコンによる咳と考えず、早めの受診をおすすめします。
- 咳が2~3週間以上続いている
- 息苦しさや息切れがある
- 発熱を繰り返している
- 吸入薬を使用しても改善しない
- 自宅や職場など、特定の場所で悪化する
- 旅行や入院で環境を離れると改善する
- 夜間や早朝に咳で目が覚める
- 血痰が出る
- 体重が減ってきた
- 胸が痛い、胸が苦しい
呼吸が非常に苦しい、会話が難しい、唇が紫色になる、意識がおかしいといった場合には、救急車の要請を検討してください。
長引く咳は、原因を整理してから治療します
当院では、咳の出る時間帯、場所、季節、生活環境、服用中のお薬などを確認します。
そのうえで、必要に応じて、
- 新型コロナ・インフルエンザ検査
- 胸部レントゲン
- 呼吸機能検査
- 呼気NO検査
- 血液検査
- 喀痰検査
- 胸部CTが可能な医療機関への紹介
などを組み合わせて、咳の原因を評価します。
咳喘息であれば、適切な吸入治療が必要です。
一方で、感染症、過敏性肺炎、非結核性抗酸菌症などが原因であれば、咳喘息とは異なる対応が必要になります。
咳を止めることだけでなく、なぜ咳が出ているのかを確認することが大切です。
エアコンをつけると咳が出る方へ
「毎年、夏になると咳が出る」
「エアコンの部屋に入ると咳が止まらない」
「休暇中はよかったのに、職場へ戻ったら咳が再発した」
という方は、症状が出る場所や時間帯を記録してご相談ください。
新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。
夏の長引く咳を、エアコンや咳喘息のせいだけにせず、原因を一度きちんと調べましょう。
日付: 2026年8月20日 カテゴリ:ブログ












