症状シリーズ③
胸が痛いとき、救急車?クリニック?|胸が苦しい・重い・締め付けられるとき
「この胸の痛み、救急車を呼ぶほど?」と迷っていませんか?
突然、胸が痛くなったとき、
「救急車を呼ぶほどではないかもしれない」
「大げさだと思われたくない」
「もう少し様子を見れば治るかもしれない」
と迷う方は少なくありません。
胸の症状も、人によって表現が異なります。
「胸が痛い」
「胸が苦しい」
「胸が重い」
「胸が締め付けられる」
「胸が圧迫される」
これらは、すべて胸痛診療で重要な訴えです。
胸の痛みには、筋肉痛や肋間神経痛など比較的心配の少ない原因もあります。一方で、心筋梗塞や大動脈解離など、一刻も早い治療が必要な病気が隠れていることもあります。
大切なのは、痛みを我慢することではなく、緊急性を正しく判断することです。
このような胸痛は、迷わず119番してください
次のような症状がある場合は、クリニックへ歩いて来たり、自分で車を運転したりせず、救急車を要請してください。
- 突然、強い胸の痛みが始まった
- 胸が強く締め付けられる、押しつぶされる感じがする
- 胸の圧迫感や重苦しさが数分以上続いている
- 痛みが次第に強くなっている
- 息が苦しい、呼吸がしにくい
- 冷や汗が出る
- 顔色が悪い
- 吐き気や嘔吐を伴う
- 意識が遠のく、失神した
- 痛みが肩、腕、顎、歯、背中、みぞおちへ広がる
- 胸から背中へ突き抜けるような激痛がある
このような症状は、心筋梗塞、急性大動脈解離、肺血栓塞栓症、緊張性気胸など、命に関わる病気でみられることがあります。
「もう少し待てば治るかもしれない」と様子を見ず、119番してください。
痛みが治まっても、安心とは限りません
狭心症の胸痛は、安静にすると数分で軽くなることがあります。
心筋梗塞でも、痛みの強さが途中で変化したり、一時的に軽くなったりする場合があります。
そのため、
「さっきは痛かったけれど、今は少し楽になった」
というだけでは、危険な病気を否定できません。
胸の圧迫感や締め付けが繰り返される場合や、歩行・階段・運動によって症状が出る場合は、早めの診察が必要です。
心筋梗塞は、必ず「激痛」とは限りません
心筋梗塞というと、胸を押さえて倒れるような激しい痛みを想像する方が多いと思います。
しかし、実際の症状はさまざまです。
- 胸が重い
- 胸が詰まる
- 胸が焼けるように感じる
- 息苦しい
- みぞおちが痛い
- 肩や背中が痛い
- 吐き気がする
- 何となく体調がおかしい
という程度のこともあります。
特に、高齢の方、糖尿病のある方、女性では、典型的な胸痛が目立たない場合があります。
痛みの強さだけで自己判断しないことが大切です。
クリニックへ受診できるのは、どのような場合でしょうか?
症状が比較的軽く、現在の状態が安定していて、救急車を呼ぶ目安に当てはまらない場合には、クリニックでご相談いただけます。
例えば、
- 胸の違和感が繰り返されている
- 数日前から、ときどき胸が痛む
- 動いたときだけ胸が痛む
- 胸を押すと痛みが再現される
- 深呼吸や体勢によって痛みが変化する
- 食後や横になったときに胸が焼ける
- 健診で心電図の異常を指摘された
- 症状は治まったが、心臓の病気ではないか心配
という場合です。
ただし、胸を押して痛む場合でも、危険な病気を完全に否定できるわけではありません。
ご自身で原因を決めつけず、医療機関で確認しましょう。
胸痛の原因は、心臓だけではありません
胸が痛い、胸が苦しいという症状には、さまざまな原因があります。
心臓の病気
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 心膜炎
- 不整脈
- 心不全
血管の病気
- 急性大動脈解離
- 大動脈瘤
- 肺血栓塞栓症
肺や胸膜の病気
- 気胸
- 肺炎
- 胸膜炎
- 肺がん
消化器の病気
- 逆流性食道炎
- 食道けいれん
- 胃・十二指腸の病気
筋肉・骨・神経の病気
- 肋間神経痛
- 肋軟骨炎
- 筋肉痛
- 帯状疹
その他
- パニック発作
- 過換気症候群
- 強い不安やストレス
胸痛では「心電図が正常だから大丈夫」とは限りません。心臓、大動脈、肺、消化器、胸壁などを幅広く考える必要があります。
当院では、胸痛の緊急性を当日評価します
当院では、胸痛のご相談には当日の対応を重視しています。
診察では、
- 痛みが始まった時刻
- 痛みの場所や性質
- 症状が続いた時間
- 運動との関係
- 息苦しさや冷や汗の有無
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症の有無
- 喫煙歴
- 心臓病や大動脈疾患の既往
- ご家族の病歴
などを確認します。
そのうえで、必要に応じて、
- 血圧・脈拍・酸素飽和度の測定
- 心電図検査
- 胸部レントゲン検査
- 血液検査
などを行います。
緊急性が高いと判断した場合には、速やかに救急搬送や専門医療機関への紹介を手配します。
危険な胸痛を見逃さず、必要以上に怖がらせない
私はこれまで、胸部外科、救急医療、集中治療の現場で、心臓、大動脈、肺の緊急疾患を数多く診療してきました。
胸痛診療で重要なのは、心筋梗塞や大動脈解離などの危険な病気を見逃さないことです。
同時に、検査の結果、筋肉や神経などに由来する心配の少ない胸痛であれば、そのことを分かりやすくお伝えすることも大切です。
危険な胸痛を速やかに見つけること。
心配の少ない胸痛を必要以上に怖がらせないこと。
その両方を意識して診療しています。
判断に迷ったときは
東京都では、救急車を呼ぶべきか迷ったときに、東京消防庁救急相談センター「#7119」へ相談できます。
ただし、強い胸痛、冷や汗、呼吸困難、意識の異常などがある場合は、相談を待たずに119番してください。
新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。
胸が痛い、胸が苦しい、胸が重い、胸が締め付けられる、胸が圧迫される――そのような症状を、自己判断だけで放置しないでください。












