健診シリーズ⑥
健診で「肝機能異常」「脂肪肝」と言われた方へ|AST・ALT・γ-GTPが高い原因は?
「お酒を控えれば大丈夫」と思っていませんか?
健康診断で、
「肝機能の数値が高い」
「AST・ALTが基準値を超えている」
「γ-GTPが高い」
「脂肪肝の疑い」
「要再検査」「要精査」
と指摘されていませんか?
そのとき、
「最近、お酒を飲みすぎただけ」
「体調は悪くないから大丈夫」
「去年も同じ結果だったけれど、何も起きていない」
と思い、そのままにしてしまう方も少なくありません。
しかし、肝臓は、病気がある程度進行するまで自覚症状が現れにくい「沈黙の臓器」です。
症状がない段階で異常の原因を確認し、肝臓が硬くなる「肝線維化」が進んでいないかを評価することが大切です。
AST・ALT・γ-GTPは何を表しているのでしょうか?
健診の肝機能検査には、AST、ALT、γ-GTPなどの項目があります。
AST(GOT)
ASTは、肝臓だけでなく、心臓や筋肉などにも含まれる酵素です。
肝細胞が傷ついた場合に上昇しますが、激しい運動や筋肉の病気などでも高くなることがあります。
ALT(GPT)
ALTは、ASTよりも肝臓に多く含まれる酵素です。
肝細胞が傷つくと血液中へ流れ出すため、慢性的な肝障害を見つける重要な手掛かりになります。
日本肝臓学会は、健康診断などでALTが30を超えた場合には、まずかかりつけ医を受診することを勧めています。
γ-GTP
γ-GTPは、飲酒による影響を受けやすい検査項目です。
しかし、飲酒だけでなく、
- 肥満
- 脂肪肝
- 胆石や胆道の病気
- 一部の薬
- 糖尿病や脂質異常症
などでも上昇することがあります。
「γ-GTPが高い=お酒だけが原因」とは限りません。
お酒を飲まない方にも脂肪肝は起こります
脂肪肝というと、
「お酒をたくさん飲む人の病気」
というイメージを持つ方も多いと思います。
しかし、飲酒量が少ない方や、ほとんどお酒を飲まない方にも脂肪肝は起こります。
体重がそれほど多くない方でも、
- 腹囲が増えてきた
- 中性脂肪が高い
- 血糖値やHbA1cが高い
- 血圧が高い
- 運動不足で筋肉量が少ない
といった場合には、脂肪肝になることがあります。
今、MASLD・MASHが問題になっています
肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの代謝異常と関連する脂肪肝は、現在、**MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)**と呼ばれています。
これまで使われてきた**NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)**という名称に代わる、新しい考え方です。
MASLDの中でも、肝臓に脂肪がたまるだけでなく、肝細胞の障害や炎症を伴う状態を、**MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)**と呼びます。
MASHは、以前の名称である**NASH(非アルコール性脂肪肝炎)**に相当します。
脂肪肝の多くは、すぐに重症化するわけではありません。
しかし、MASHの一部では、肝臓の炎症が続くことで肝線維化が進み、肝硬変や肝がんへ進行することがあります。
そのため、現在の脂肪肝診療では、
「脂肪肝があるか」
だけではなく、
「MASLDの中にMASHが隠れていないか」
「肝線維化が進んでいないか」
を確認することが重要です。
MASLD・MASHの詳しい診断や治療については、今後、別の記事で詳しくご説明します。
「脂肪肝ですね」で終わらせるのは危険です
健診や腹部エコーで脂肪肝を指摘されたとき、
「脂肪肝ですね」
「少し体重を減らしましょう」
「お酒を控えて様子を見ましょう」
という説明だけで終わってしまうことがあります。
しかし、脂肪肝、特にMASLDで本当に確認しなければならないのは、肝臓に脂肪がたまっているかどうかだけではありません。
最も重要なのは、
肝線維化が進んでいないか
という点です。
MASLDの中には、脂肪肝からMASHへ進み、さらに肝線維化、肝硬変、肝がんへ進行する方がいます。
ASTやALTの上昇が軽度でも、肝線維化が進んでいることがあります。
また、肝機能の数値が基準値内であっても、脂肪肝や肝線維化がないとは限りません。
血液検査の数値だけを見ても、肝臓がどの程度硬くなっているかは分かりません。
そのため、MASLDが疑われた場合には、肝線維化のリスク評価を必ず行うことが大切です。
FIB-4 indexで肝線維化の可能性を評価します
FIB-4 indexは、
- 年齢
- AST
- ALT
- 血小板数
から計算し、肝線維化の可能性を評価する指標です。
特別な検査を追加しなくても、健診や血液検査の結果から計算できることがあります。
一般的には、FIB-4 indexが1.3以上の場合、肝線維化の可能性を考えて追加評価を検討します。
ただし、FIB-4 indexは年齢の影響を受けます。
数値が高いからといって肝硬変と診断されるわけではなく、低いからといって肝臓病を完全に否定できるわけでもありません。
あくまでも、さらに詳しい検査が必要な方を見つけるための指標です。
肝線維化の評価には、超音波エラストグラフィが有用です
肝線維化を評価する方法の一つに、超音波エラストグラフィがあります。
超音波エラストグラフィは、体の外から超音波を当て、肝臓の硬さを測定する検査です。
肝臓に線維化が進むと、肝臓は次第に硬くなります。
肝臓の硬さを数値として測定することで、通常の腹部エコーだけでは分かりにくい肝線維化の可能性を、体への負担が少ない方法で評価できます。
肝生検のように針を刺す検査ではなく、通常の腹部エコーと同様に、皮膚の上から検査します。
当院ではATI・SWEによる評価が可能です
当院では、通常の腹部超音波検査に加えて、必要に応じて、
- ATI:肝臓にたまった脂肪の程度を測定
- SWE:肝臓の硬さを測定する超音波エラストグラフィ
を行うことができます。
まず、血液検査からFIB-4 indexを計算し、さらにATIやSWEを組み合わせることで、
- 肝臓に脂肪がどの程度たまっているのか
- 肝線維化が進んでいる可能性があるのか
- 定期的な経過観察が必要なのか
- 専門医療機関でさらに詳しい検査が必要なのか
を判断します。
「脂肪肝がある」と確認するだけではなく、「肝臓が硬くなっていないか」まで確認する。
それが、当院の脂肪肝・MASLD診療で大切にしていることです。
腹部エコーでは、肝臓以外の異常も確認します
通常の腹部超音波検査では、
- 脂肪肝の有無
- 肝臓の形や表面
- 肝臓内の腫瘤
- 胆石や胆のうの異常
- 胆管の拡張
- 脾臓の腫大
- 腹水の有無
などを確認します。
血液検査、FIB-4 index、腹部エコー、ATI、SWEを組み合わせることで、肝臓の状態をより詳しく評価できます。
肝機能異常の原因は脂肪肝だけではありません
AST、ALT、γ-GTPが高くなる原因には、脂肪肝や飲酒以外にも、さまざまなものがあります。
- B型肝炎・C型肝炎
- 薬物性肝障害
- 健康食品やサプリメントによる肝障害
- 自己免疫性肝炎
- 原発性胆汁性胆管炎
- 胆石・胆道系の病気
- 甲状腺などの内分泌疾患
- 激しい運動や筋肉の障害
「太っているから脂肪肝だろう」
「お酒が原因だろう」
と自己判断すると、別の病気を見落とす可能性があります。
服用している薬だけでなく、健康食品やサプリメントも、受診時にお知らせください。
受診すると、すぐに薬を飲むことになりますか?
肝機能異常や脂肪肝を指摘されたからといって、全員がすぐに薬を始めるわけではありません。
原因がMASLDの場合には、
- 体重を少し減らす
- 食事量や間食を見直す
- 継続できる運動を始める
- 飲酒量を調整する
- 糖尿病、脂質異常症、高血圧を適切に管理する
ことが治療の中心になります。
大幅な減量だけが目標ではありません。
まず体重の増加を止めることや、現在の体重から少し減らすことでも、肝機能や脂肪肝が改善する可能性があります。
一方、ウイルス性肝炎、薬物性肝障害、自己免疫性肝疾患などが疑われる場合には、原因に応じた検査や専門治療が必要です。
このような症状がある場合は、早めに受診してください
肝臓病は症状が現れにくい病気ですが、次のような症状がある場合には、早めの受診が必要です。
- 皮膚や白目が黄色い
- 尿の色が濃い
- 強いだるさや食欲低下がある
- 吐き気が続く
- お腹が張ってきた
- 足がむくむ
- 意識がぼんやりする
急に症状が現れた場合や、状態が悪化している場合には、救急医療機関への受診が必要になることがあります。
当院では肝臓だけでなく、生活習慣病全体を確認します
当院では、AST、ALT、γ-GTPだけを見るのではなく、
- 体重・BMI・腹囲
- 血圧
- 血糖値・HbA1c
- LDLコレステロール・中性脂肪
- 血小板数
- 腎機能
- 飲酒量
- 服用中の薬やサプリメント
- 過去の健診結果
などを確認します。
必要に応じて、
- 血液検査
- B型・C型肝炎ウイルス検査
- FIB-4 indexの計算
- 腹部超音波検査
- ATIによる脂肪量の測定
- SWEによる肝硬度の測定
を組み合わせて評価します。
専門的な検査や治療が必要と判断した場合には、適切な医療機関へご紹介します。
健診結果を受け取ったら、まず当院へ
肝機能異常を指摘されても、必要以上に心配する必要はありません。
しかし、
「症状がないから大丈夫」
「脂肪肝と言われただけだから大丈夫」
「お酒を控えれば、そのうち治る」
と自己判断して放置することはおすすめできません。
「AST・ALT・γ-GTPの意味を知りたい」
「脂肪肝と言われたが、何をすればよいか分からない」
「お酒を飲まないのに肝機能が高い」
「MASLD・MASHについて相談したい」
「肝線維化が進んでいないか確認したい」
「FIB-4 indexや超音波エラストグラフィで詳しく調べたい」
という方も、健診結果をご持参のうえご相談ください。
「脂肪肝ですね」で終わらせず、肝線維化まで確認する。
新宿イーストサイドたけうち内科では、血液検査、腹部エコー、ATI、SWEを組み合わせて、脂肪肝・MASLDの状態を評価します。
当院は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエアB1Fにあります。
健診結果を受け取ったら、まず当院へ。












