呼吸器シリーズ①
夜や明け方に咳が止まらないのは咳喘息?|「咳=咳喘息」と決めつけない診療
「風邪は治ったのに、咳だけが続く」と感じていませんか?
風邪をひいた後に、
「熱や喉の痛みは治ったのに、咳だけが続いている」
「夜になると咳が止まらない」
「明け方に咳き込んで目が覚める」
「電話や会話中に咳が出る」
「冷たい空気やエアコンで咳が出る」
ということはありませんか?
咳が長引くと、
「まだ風邪が治っていないのだろう」
「そのうち自然に止まるだろう」
と思いがちです。
しかし、咳が2週間以上続く場合は、風邪以外の原因も考える必要があります。
夜や明け方に悪化する咳は、咳喘息かもしれません
咳喘息は、喘鳴や呼吸困難が目立たず、咳が主な症状となる喘息の一種です。
一般的な気管支喘息では、
「ゼーゼーする」
「ヒューヒューする」
「息が苦しい」
といった症状がみられます。
一方、咳喘息では、ゼーゼー・ヒューヒューする音がなく、咳だけが続くことがあります。
そのため、
「息苦しくないから喘息ではない」
「胸の音がしないから大丈夫」
とは限りません。
咳喘息でよくみられる症状
咳喘息では、次のような特徴がみられることがあります。
- 夜間や明け方に咳が悪化する
- 乾いた咳が続く
- 会話や電話中に咳き込む
- 笑ったときに咳が出る
- 冷たい空気やエアコンで咳が出る
- 運動すると咳が出る
- 季節の変わり目に悪化する
- 花粉、ほこり、たばこの煙、香水などで咳が出る
- 風邪をひくたびに咳だけが長引く
すべての症状がそろうわけではありません。
また、咳喘息では胸部レントゲンや通常の呼吸機能検査に、明らかな異常が出ないこともあります。
「咳が止まらない=咳喘息」と決めつけないことが大切です
最近、「咳が止まらない」と医療機関を受診したところ、十分な検査を受けないまま、
「咳喘息でしょう」
と説明され、吸入ステロイド薬が処方されているケースをしばしば見かけます。
確かに、長引く咳の原因として咳喘息は重要です。
しかし、
咳喘息を疑うことと、咳喘息と診断することは同じではありません。
当院を受診される方の中にも、
「以前、咳喘息と言われました」
「風邪をひくたびに咳喘息と診断されます」
「何年も喘息の吸入薬を使っています」
という方がいます。
ところが、症状の経過やこれまでの検査結果を確認すると、本当に咳喘息や気管支喘息として治療を続ける必要があるのか、診断をあらためて検討した方がよいケースも少なくありません。
吸入薬が処方されたことは、診断の証明ではありません
吸入ステロイド薬を処方されたからといって、それだけで咳喘息と確定したことにはなりません。
また、吸入薬を使って咳が少し改善したとしても、それだけで咳喘息と断定できるわけではありません。
咳は自然に改善することもあります。
風邪の後に続く感染後咳嗽、アトピー咳嗽、鼻や副鼻腔の病気などでも、治療中に症状が変化することがあります。
一方で、本当に咳喘息があり、気道の炎症を抑える治療を続けた方がよい方もいます。
大切なのは、
- 本当に咳喘息なのか
- 別の病気による咳ではないか
- 複数の原因が重なっていないか
- 吸入治療を続ける必要があるのか
を、あらためて整理することです。
咳喘息だけが、長引く咳の原因ではありません
長引く咳の原因には、咳喘息以外にも、
- 風邪の後に咳だけが残る感染後咳嗽
- 気管支喘息
- アトピー咳嗽・喉頭アレルギー
- 副鼻腔炎や後鼻漏
- 胃食道逆流症
- 百日咳
- 肺炎
- 肺結核
- COPD
- 間質性肺炎
- 非結核性抗酸菌症
- 肺がん
- 心不全
- 高血圧治療薬などによる薬剤性咳嗽
など、さまざまな病気があります。
複数の原因が重なっていることも少なくありません。
原因を確認せずに咳止めや吸入薬だけを続けても、症状が改善しないことがあります。
当院が咳喘息の診断で重視していること
当院では、「咳が続いている」という理由だけで、すぐに咳喘息と決めつけることはしません。
まず、
- 咳が始まった時期
- 夜間や明け方に悪化するか
- 冷気、運動、会話などで誘発されるか
- ゼーゼー・ヒューヒューすることがないか
- 痰、発熱、胸痛、息苦しさがないか
- アレルギーや副鼻腔炎がないか
- 胸やけや胃酸の逆流がないか
- 喫煙歴
- 服用している薬
- これまでの吸入薬への反応
などを確認します。
そのうえで、必要に応じて検査を行います。
胸部レントゲン検査
肺炎、肺結核、肺がん、間質性肺炎など、肺に異常がないかを確認します。
呼吸機能検査
息を吸ったり吐いたりする力を測り、気道が狭くなっていないか、COPDなどが隠れていないかを調べます。
呼気NO検査
吐いた息に含まれる一酸化窒素の濃度を測り、気道にアレルギー性の炎症が起きていないかを評価します。
血液検査
アレルギーや好酸球性炎症、感染症などが疑われる場合に行います。
ただし、ひとつの検査だけで咳喘息を確定できるわけではありません。
問診、診察所見、検査結果、治療への反応を組み合わせて、総合的に判断します。
「なんとなく咳喘息」の中から、本当に治療が必要な方を見つける
咳喘息の診療で大切なのは、単に病名をつけて吸入薬を処方することではありません。
当院が注意しているのは、
「なんとなく咳喘息」と診断されている方の中から、本当に気道の炎症があり、適切な喘息治療を必要としている方を見つけることです。
同時に、咳喘息ではない方へ漫然と吸入治療を続けないことも大切です。
さらに、肺炎、肺がん、肺結核、間質性肺炎、非結核性抗酸菌症など、ほかの病気を見逃さないことも重要です。
本当に咳喘息であれば、適切な治療が必要です
検査や経過から咳喘息と判断した場合は、気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬を中心に治療します。
症状の程度によっては、気管支を広げる薬を組み合わせた吸入薬などを使用します。
咳が軽くなったからといって、自己判断ですぐに吸入薬を中止すると、再び咳が出ることがあります。
一方で、診断を確認せず、効果がはっきりしない吸入薬を漫然と続けることも適切ではありません。
症状が改善しているか、診断が妥当か、治療を続ける必要があるかを定期的に見直します。
2週間を待たずに受診した方がよい咳
咳の日数にかかわらず、次のような症状がある場合は早めに受診してください。
- 息苦しい
- 胸が痛い、胸が苦しい
- 高熱が続く
- 血痰が出る
- 黄色や緑色の痰が増えている
- 咳で眠れない
- 呼吸すると胸が痛む
- 体重が減っている
- 食事や水分がとれない
- 顔色が悪い、意識がもうろうとする
特に、強い呼吸困難、胸痛、唇が紫色になる、意識がおかしいなどの症状がある場合は、救急診療が必要です。
咳喘息と言われた方も、一度診断を整理してみましょう
「以前から咳喘息と言われているけれど、本当にそうなのかわからない」
「吸入薬を使っても咳が止まらない」
「風邪をひくたびに咳喘息と言われる」
「吸入薬をいつまで続ければよいのかわからない」
という方も、ご相談ください。
当院では、胸部レントゲン、呼吸機能検査、呼気NO検査などを組み合わせ、咳喘息だけでなく、長引く咳の原因を総合的に評価します。
新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。
長引く咳、止まらない咳、夜や明け方の咳は、当院へご相談ください。












