健診シリーズ④
健診で「血糖値・HbA1cが高い」と言われた方へ|糖尿病の診断や治療が必要なのでしょうか?
「少し高いだけだから大丈夫」と思っていませんか?
健康診断で、
「血糖値が高い」
「HbA1cが基準値を超えている」
「糖尿病の疑い」
「要再検査」「要精査」
と指摘されていませんか?
そのとき、
「少し高いだけだから大丈夫」
「甘いものを控えれば、そのうち下がるだろう」
「体調は悪くないので、糖尿病ではない」
と思い、そのままにしてしまう方も少なくありません。
しかし、糖尿病は初期にはほとんど自覚症状がありません。
症状がない段階で血糖値の異常を確認し、必要な対策を始めることが大切です。
血糖値とHbA1cは、何が違うのでしょうか?
血糖値は、採血した時点の血液中のブドウ糖の濃度です。
食事の時間や内容、運動、睡眠不足、体調、ストレスなどによって変動します。
一方、HbA1cは、最近1~2か月を中心とした平均的な血糖状態を反映する指標です。
そのため、
- 空腹時血糖値は高いが、HbA1cはそれほど高くない
- 血糖値は正常だったが、HbA1cが高い
- どちらも高い
など、さまざまな組み合わせがあります。
血糖値とHbA1cの両方を確認することで、一時的な上昇なのか、血糖値が高い状態が続いているのかを判断しやすくなります。
いくつから糖尿病なのでしょうか?
一般的には、次のいずれかを満たす場合に「糖尿病型」と判定されます。
- 空腹時血糖値:126mg/dL以上
- 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値:200mg/dL以上
- 随時血糖値:200mg/dL以上
- HbA1c:6.5%以上
ただし、健診で一度基準値を超えただけで、必ず糖尿病と確定するわけではありません。
血糖値とHbA1cの組み合わせ、再検査の結果、糖尿病に特徴的な症状の有無などを確認して診断します。
HbA1cだけで糖尿病を確定することはできず、診断には血糖値の確認が必要です。
HbA1cが5.6%や6.0%でも受診した方がよいのでしょうか?
健診では、糖尿病の診断基準より低い数値から注意を促されることがあります。
目安として、
- 空腹時血糖値100~109mg/dL、またはHbA1c 5.6~5.9%
→生活習慣の見直しが必要な段階 - 空腹時血糖値110~125mg/dL、またはHbA1c 6.0~6.4%
→糖尿病になる可能性が高まり、再検査や精密検査を検討する段階 - 空腹時血糖値126mg/dL以上、またはHbA1c 6.5%以上
→医療機関で糖尿病の診断を確認する段階
と考えられます。
ただし、健診機関によって判定区分や表記が異なる場合があります。
数値だけで自己判断せず、健診結果全体を確認することが大切です。
糖尿病は、初期にはほとんど症状がありません
血糖値がかなり高くなると、
- のどが異常に渇く
- 水分をたくさん飲む
- 尿の回数や量が増える
- 体重が減る
- 疲れやすい
- 目がかすむ
などの症状が現れることがあります。
しかし、健診で初めて異常を指摘される段階では、症状がない方がほとんどです。
「症状がないから大丈夫」ということではありません。
症状がないうちに血糖値を確認し、将来の合併症を防ぐことが重要です。
血糖値が高い状態を放置すると、どうなりますか?
高血糖が長く続くと、全身の血管や神経が少しずつ傷つきます。
代表的な合併症には、
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病性腎症
- 糖尿病性神経障害
があります。
さらに、
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 下肢の動脈硬化
などの危険性も高くなります。
糖尿病は、血糖値だけの病気ではありません。
血圧、LDLコレステロール、中性脂肪、腎機能、体重、喫煙なども含めて、将来の血管障害の危険性を考える必要があります。
甘いものだけが原因とは限りません
糖尿病には、今も、
「ぜいたくをした人がなる病気」
「甘いものや食事を我慢できなかった人がなる病気」
「自己管理ができない人の病気」
という負のイメージがあります。
しかし、糖尿病は、甘いものの食べ過ぎだけで起こる病気ではありません。
- 遺伝的な体質
- 加齢
- 体重の増加
- 内臓脂肪
- 筋肉量
- 運動不足
- 食事時間の乱れ
- 睡眠不足
- ストレス
- 飲酒
- 一部の薬
- 膵臓や内分泌系の病気
など、さまざまな要因が重なって発症します。
痩せている方や、甘いものをほとんど食べない方でも糖尿病になることがあります。
糖尿病と診断されたからといって、ご本人の努力が足りなかったということではありません。
病名を必要以上に重く受け止め、自分を責める必要もありません。
糖尿病と診断されることを、必要以上に怖がらないでください
「糖尿病と診断されたくない」
「一度診断されたら、一生病気を背負うことになる」
「厳しい食事制限を続けなければならない」
と考え、医療機関への受診をためらう方もいらっしゃいます。
しかし、診断を避けても、血糖値が高い状態がなくなるわけではありません。
むしろ、早い段階で自分の状態を知ることで、生活習慣の見直しなど、比較的取り組みやすい方法から対策を始められる可能性があります。
糖尿病という病名を付けることが目的ではありません。
将来の合併症を防ぎ、健康な状態を長く維持することが診療の目的です。
糖尿病と診断されたら、すぐにインスリン注射なのでしょうか?
「糖尿病と診断されたら、毎日自分で血糖値を測り、インスリン注射をしなければならない」
というイメージを持っている方も少なくありません。
しかし、2型糖尿病と診断された方全員が、自己血糖測定やインスリン自己注射を始めるわけではありません。
血糖値やHbA1c、年齢、体重、腎機能、合併症、生活状況などを確認し、一人ひとりに合った治療方法を選びます。
軽度の段階であれば、食事、運動、体重管理などから始められる場合もあります。
薬が必要な場合でも、飲み薬から治療を始められる方が多くいらっしゃいます。
一方、血糖値が著しく高い場合や、口渇、多尿、体重減少などの症状がある場合には、早期にインスリンを含む治療が必要になることもあります。
大切なのは、インスリン注射を避けることではなく、その時点で最も適した治療を選ぶことです。
糖尿病治療は大きく変わっています
近年、糖尿病治療は大きく進歩しました。
従来から使用されている薬に加え、
- SGLT2阻害薬
- DPP-4阻害薬
- GLP-1受容体作動薬
など、さまざまな作用を持つ薬を選択できるようになっています。
現在は、単に血糖値を下げるだけではなく、
- 低血糖を起こしにくいか
- 体重への影響はどうか
- 心臓や腎臓を守る効果が期待できるか
- 年齢や合併症に合っているか
- 生活の中で無理なく続けられるか
まで考えて薬を選ぶ時代です。
糖尿病と診断されたからといって、治療方法が一つに決まっているわけではありません。
その方の状態や希望に合わせて、治療を選択できます。
HbA1cが実際の血糖状態と合わないこともあります
HbA1cは非常に有用な検査ですが、いつでも正確に平均血糖を反映するとは限りません。
例えば、
- 貧血
- 出血や輸血
- 腎機能障害
- 赤血球の寿命に影響する病気
- 急激に血糖値が変化した直後
などでは、実際の血糖状態とHbA1cがずれることがあります。
そのため、HbA1cだけを見るのではなく、血糖値、血算、腎機能、これまでの検査結果なども合わせて判断します。
受診すると、すぐに薬を飲むことになりますか?
血糖値やHbA1cが高いからといって、全員がすぐに薬を始めるわけではありません。
まず、
- 本当に糖尿病なのか
- どの程度の血糖上昇なのか
- 生活習慣の改善で経過をみられるのか
- すでに合併症がないか
- ほかの病気や薬が影響していないか
を確認します。
軽度の異常であれば、食事、運動、体重管理などを見直しながら経過をみることがあります。
一方で、早い段階から適切に介入し、良好な血糖状態を維持することは、将来の合併症を防ぐうえで重要です。
「まだ薬を飲みたくない」という理由だけで受診を先延ばしにするのではなく、まず現在の状態を確認しましょう。
怖がりすぎず、軽く見すぎず、早めに向き合うことが大切です
糖尿病を必要以上に怖がり、診断を避ける必要はありません。
しかし、「症状がないから大丈夫」と軽く考え、放置することもおすすめできません。
怖がりすぎず、軽く見すぎず、早めに向き合う。
それが、現在の糖尿病診療で大切な考え方です。
健診で血糖値やHbA1cの異常を指摘されたら、一人で悩む必要はありません。
思っているよりも気楽に、そして少し積極的に、糖尿病と向き合っていきましょう。
当院では健診結果全体を確認します
当院では、血糖値やHbA1cだけを見るのではなく、
- これまでの健診結果
- 体重や腹囲の変化
- 血圧
- LDLコレステロール・中性脂肪
- 肝機能・腎機能
- ご家族の病歴
- 現在服用している薬
- 食事・運動・飲酒などの生活習慣
を確認します。
必要に応じて、血糖値、HbA1c、尿検査などを行い、糖尿病の診断や治療の必要性を判断します。
健診結果の用紙があれば、過去の結果も含めてご持参ください。
健診結果を受け取ったら、まず当院へ
健診で血糖値やHbA1cが高いと言われても、必要以上に心配する必要はありません。
しかし、症状がないからといって放置することはおすすめできません。
「糖尿病なのか確認したい」
「すぐに薬が必要なのか知りたい」
「まずは食事や運動で改善できるか相談したい」
「昨年よりHbA1cが上がっている」
という方も、健診結果をご持参のうえご相談ください。
新宿イーストサイドたけうち内科は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエアB1Fにあります。
健診結果を受け取ったら、まず当院へ。
数値と診断の記載は、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」および厚生労働省「受診勧奨判定値について」に基づいています。












