症状から考えるシリーズ
階段で息切れするのは年齢のせい?|心臓・肺・貧血を一度確認しましょう
「最近、階段を上ると息が切れます」
駅の階段を上ると、途中で立ち止まりたくなる。
以前は平気だった坂道で、息が上がるようになった。
同じ年齢の人と歩いているのに、自分だけ遅れてしまう。
こうした変化があっても、
「年を取ったから仕方がない」
「運動不足だからだろう」
と考え、そのままにしている方は少なくありません。
確かに、加齢や運動不足、体重増加によって息切れしやすくなることはあります。
しかし、以前は平気だった動作で息切れするようになった場合には、心臓、肺、血液などの病気が隠れていないか、一度確認することが大切です。
息切れとは、どのような症状でしょうか?
息切れは、
- 息が足りない
- 呼吸が苦しい
- 深く息を吸えない
- 胸が詰まる
- 呼吸が速くなる
- 少し動くだけで息が上がる
などと感じる症状です。
医学的には、体を動かしたときに起こる息切れを「労作時呼吸困難」と呼びます。
初期には、平地を歩くだけでは症状がなく、坂道や階段を上ったときだけ息切れすることがあります。
病気が進行すると、平地を歩く、着替える、入浴するなど、日常の軽い動作でも息苦しさを感じるようになります。
息切れの原因1|心臓の病気
心臓は、全身へ血液を送り出すポンプです。
心臓の働きが低下したり、心臓へ十分な血液が届かなかったりすると、運動時に必要な酸素を全身へ届けられず、息切れとして現れることがあります。
心不全
心不全では、階段や坂道での息切れに加えて、
- 足がむくむ
- 数日間で体重が増える
- 横になると息苦しい
- 夜中に息苦しくて目が覚める
- 疲れやすい
- 動悸がする
などの症状がみられることがあります。
「足のむくみと息切れが同時に出てきた」
という場合には、心不全を考える必要があります。
狭心症・心筋梗塞
狭心症では、階段や早歩きなど心臓へ負担がかかったときに、
- 胸が締めつけられる
- 胸が圧迫される
- 胸が重い
- 左肩、腕、顎などが痛む
といった症状が現れます。
しかし、必ずしも典型的な胸痛が出るとは限りません。
特に高齢者や糖尿病のある方では、胸の痛みがなく、息切れや強い疲労感だけが狭心症の症状として現れることがあります。
不整脈・弁膜症
脈が速すぎる、遅すぎる、乱れるといった不整脈でも、動悸、息切れ、めまい、ふらつきが起こります。
また、心臓の弁に異常がある弁膜症も、初期には階段や坂道での息切れから始まることがあります。
息切れの原因2|肺や気管支の病気
肺は、体内へ酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する臓器です。
肺や気管支に異常があると、体を動かしたときに必要な酸素を十分に取り込めず、息切れが起こります。
気管支喘息・咳喘息
喘息では、
- ゼーゼー、ヒューヒューする
- 夜間や早朝に息苦しい
- 咳が長く続く
- 季節の変わり目に悪化する
- 運動すると咳や息切れが出る
などの症状がみられます。
喘鳴がなく、咳や胸の違和感だけが目立つこともあります。
ただし、息切れや長引く咳を、検査せずにすべて喘息・咳喘息と考えることはできません。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDは、主に長期間の喫煙によって気管支や肺が傷み、空気をうまく吐き出せなくなる病気です。
ゆっくり進行するため、
「年齢のせいで体力が落ちた」
と思っていたら、実際にはCOPDだったということがあります。
喫煙歴があり、咳、痰、階段での息切れがある方は、一度呼吸機能を確認することをおすすめします。
肺炎・間質性肺炎・肺NTM症など
咳、痰、発熱を伴う場合には肺炎を考えます。
乾いた咳と息切れが徐々に進む場合には、間質性肺炎などが隠れていることもあります。
長引く咳、痰、血痰、体重減少などを伴う場合には、肺NTM症や肺がんなども鑑別に入ります。
胸部レントゲンだけでは判断できず、CT検査が必要になる場合もあります。
息切れの原因3|貧血
血液中の赤血球やヘモグロビンは、肺で取り込んだ酸素を全身へ運んでいます。
貧血になると酸素を十分に運べなくなるため、心臓や肺そのものに異常がなくても、
- 階段で息が切れる
- 動悸がする
- 疲れやすい
- めまいがする
- 立ちくらみがある
- 顔色が悪い
- 頭痛がする
などの症状が現れます。
月経量が多い女性では、鉄欠乏性貧血が少なくありません。
一方、男性や閉経後の女性に貧血がある場合には、胃潰瘍、大腸ポリープ、大腸がんなどによる消化管出血が隠れていないかを確認する必要があります。
血液検査では、ヘモグロビンだけでなく、必要に応じて鉄やフェリチンなども調べます。
心臓・肺・貧血以外にも原因があります
息切れは、心臓、肺、貧血だけで起こるものではありません。
ほかにも、
- 甲状腺機能亢進症
- 肥満
- 運動不足
- 感染症
- 睡眠不足や過労
- 不安や過換気
- 薬剤の影響
などが関係することがあります。
原因が一つとは限らず、心臓病と貧血、COPDと心不全など、複数の問題が重なっていることもあります。
「年齢のせい」と「病気による息切れ」は、どう見分ける?
自分の息切れが年齢や運動不足によるものか、病気によるものかを、症状だけで完全に見分けることは困難です。
特に重要なのは、以前と比べた変化です。
一度受診した方がよい変化
- 以前は平気だった階段で息切れする
- 歩く速度が遅くなった
- 同年代の人についていけなくなった
- 息切れが少しずつ悪化している
- 休憩する回数が増えた
- 息切れとともに胸の圧迫感がある
- 動悸、めまい、失神を伴う
- 咳や痰が長く続いている
- 足のむくみが出てきた
- 顔色が悪いと言われる
こうした変化がある場合には、年齢だけで片づけず、原因を確認しましょう。
診察では、何を確認するのでしょうか?
息切れの診察では、
- いつから始まったか
- 突然か、徐々に悪化したか
- 階段、坂道、平地のどこで起こるか
- 休むと何分で改善するか
- 胸痛、動悸、咳、痰、発熱があるか
- 横になると苦しくないか
- 足のむくみがないか
- 喫煙歴があるか
- 月経量や出血症状
- 心臓病、肺疾患、貧血などの既往
を確認します。
「何階まで上ると息切れするか」
「以前と比べて歩ける距離が変わったか」
といった情報も、原因を考える手がかりになります。
息切れで行う主な検査
症状や診察所見に応じて、次の検査を組み合わせます。
酸素飽和度・脈拍・血圧
まず、体内に酸素が取り込めているか、脈拍や血圧に異常がないかを確認します。
安静時には正常でも、歩行などの運動後に酸素飽和度が低下することがあります。
心電図
不整脈や、心筋虚血を疑う変化がないかを調べます。
ただし、狭心症や発作性不整脈では、症状がない時間の心電図が正常なこともあります。
胸部レントゲン
肺炎、気胸、肺腫瘍、間質性肺炎、胸水、心拡大、肺うっ血などがないかを確認します。
血液検査
貧血、感染症、甲状腺機能、肝機能、腎機能などを調べます。
心不全や血栓症が疑われる場合には、必要に応じて追加の項目を測定します。
呼吸機能検査・呼気一酸化窒素検査
呼吸機能検査では、息を吸ったり吐いたりする力を測り、喘息やCOPDなどの可能性を調べます。
呼気一酸化窒素検査(FeNO)は、喘息に関連する好酸球性気道炎症を評価する補助検査です。
超音波検査
心臓超音波検査では、心臓の動き、弁膜症、心臓の大きさなどを評価します。
症状や検査結果に応じて、循環器専門医療機関をご紹介する場合があります。
CT・MRI検査
レントゲンだけでは十分に判断できない場合には、CTなどの画像検査を検討します。
当院では、Seeds Clinic新宿三丁目およびメディカルスキャニング東新宿と連携し、必要な画像検査を診断や治療へつなげています。
突然の強い息苦しさは、救急疾患の可能性があります
息切れの中には、すぐに治療が必要な病気があります。
次のような場合には、通常の外来予約を待たず、119番への連絡を検討してください。
- 突然、強い息苦しさが出た
- 安静にしていても息が苦しい
- 胸の強い痛みや圧迫感がある
- 冷や汗が出ている
- 唇や顔色が青白い
- 普通に会話できない
- 意識がもうろうとしている
- 息苦しさとともに失神した
- 片脚の腫れや痛みに続いて息苦しくなった
- 手術後、長時間移動後、出産後などに突然息苦しくなった
心筋梗塞、急性心不全、肺血栓塞栓症、気胸、重症喘息などの可能性があります。
「様子を見れば治るだろう」と無理をしないでください。
階段での息切れは、体からの小さなサインかもしれません
階段で少し息が切れるだけでは、すぐに受診しようとは思わないかもしれません。
しかし、心臓や肺の病気は、安静時ではなく、体を動かしたときの症状から始まることがあります。
大切なのは、
以前の自分と比べて、どう変わったか
です。
「年齢のせい」
「太ったから」
「運動不足だから」
と思っていても、本当にそれだけなのかは、調べなければ分かりません。
以前より息切れしやすくなったと感じたら、一度ご相談ください。
東新宿で息切れの診察をご希望の方へ
新宿イーストサイドたけうち内科では、心臓、肺、血液など複数の方向から息切れの原因を考えます。
心電図、胸部レントゲン、血液検査、呼吸機能検査、呼気一酸化窒素検査、超音波検査などを、症状に応じて組み合わせます。
必要な場合には、CT・MRI検査や専門医療機関への紹介まで対応します。
当院は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。
新宿イーストサイドたけうち内科
院長 竹内惠理保
息切れ・呼吸困難の診察予約
当院を初めて受診される方もご予約いただけます。
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※突然の強い呼吸困難、胸痛、意識障害などがある場合には、外来予約ではなく救急要請をご検討ください。
※検査内容は、症状や診察所見を確認したうえで医師が判断します。












