健診結果を読み解くシリーズ 健診で血糖値・HbA1cが高い|「少しだけ」でも再検査は必要ですか?
健診結果を読み解くシリーズ
健診で血糖値・HbA1cが高い|「少しだけ」でも再検査は必要ですか?
健康診断の結果を見て、
「血糖値が少し高いだけだから、来年まで様子を見てもよいでしょうか?」
「HbA1cが基準値を超えていますが、糖尿病ということですか?」
「前日に甘いものを食べたせいでしょうか?」
と相談されることがあります。
血糖値やHbA1cの異常は、健診でよく指摘される項目の一つです。
しかし、糖尿病の初期には自覚症状がほとんどないため、体調に問題がないからといって安心はできません。
健診で見つかった小さな異常は、糖尿病や糖尿病予備群を早期に発見するための大切なサインです。
血糖値とHbA1cは何が違うのでしょうか?
血糖値とHbA1cは、どちらも血糖の状態を確認する検査ですが、示している内容が異なります。
血糖値
血糖値は、採血した時点の血液中のブドウ糖の濃度です。
食事の内容や採血までの時間、運動、睡眠不足、ストレス、感染症などによって変動します。
そのため、健診結果を見るときには、
- 空腹時に採血したのか
- 食後どのくらいで採血したのか
- 当日の体調はどうだったのか
も確認する必要があります。
HbA1c
HbA1cは、直近1~2か月程度の血糖状態を反映する指標です。
採血直前の食事だけで大きく変化する検査ではないため、普段から血糖が高くなっていないかを判断する手掛かりになります。
ただし、貧血、腎臓病、出血、輸血、赤血球の寿命に影響する病気などによって、実際の血糖状態とずれる場合があります。
血糖値とHbA1cの両方を見ながら判断することが大切です。
HbA1cが高ければ、すぐ糖尿病と診断されますか?
HbA1cが少し高いというだけで、直ちに糖尿病と決まるわけではありません。
一般に、
- 空腹時血糖値126mg/dL以上
- HbA1c 6.5%以上
は「糖尿病型」に該当する数値です。
ただし、実際の診断では、血糖値とHbA1cの組み合わせ、再検査の結果、糖尿病の症状の有無などを確認します。
一度の検査結果だけでは診断が確定せず、別の日に再検査が必要になることもあります。
一方で、血糖値がかなり高い場合や、口の渇き、多尿、体重減少などがある場合は、早めの診断と治療が必要です。
「糖尿病型の数値だったけれど、症状がないから大丈夫」とは考えず、できるだけ早く医療機関を受診してください。
「糖尿病予備群」なら、まだ受診しなくてもよいですか?
糖尿病の診断基準には達していなくても、正常とはいえない範囲があります。
一般に、
- 空腹時血糖値110~125mg/dL
- HbA1c 6.0~6.4%
では、糖尿病の疑いを否定できず、詳しい評価が勧められます。
さらに、
- 空腹時血糖値100~109mg/dL
- HbA1c 5.6~5.9%
程度でも、高血圧、脂質異常症、肥満、家族歴などがある方は、将来糖尿病を発症する危険性が高くなることがあります。
「まだ糖尿病ではない」
という段階は、放置してよい時期ではありません。
むしろ、生活習慣を見直し、糖尿病への進行を防ぐために行動しやすい時期です。
前日に甘いものを食べたせいでしょうか?
採血直前の食事は、その時点の血糖値に影響する可能性があります。
しかし、HbA1cは直前の一食だけで大きく上がる検査ではありません。
また、健診前だけ食事を控えて数値を整えても、普段の血糖状態を正しく評価できなくなってしまいます。
健診は、よい数字を出すための試験ではありません。
今の体の状態を知り、将来の病気を予防するための機会です。
数値が高かった場合は、前日の食事だけが原因と決めつけず、再検査で確認しましょう。
痩せていても糖尿病になることがあります
糖尿病というと、肥満のある方に起こる病気という印象があるかもしれません。
確かに、内臓脂肪の増加や体重増加は、2型糖尿病の大きな危険因子です。
しかし日本人では、見た目には痩せていても、インスリンを分泌する力が弱く、血糖値が高くなる方がいます。
また、
- ご家族に糖尿病の方がいる
- 若い頃より体重が増えた
- 運動する機会が少ない
- 夜遅い時間に食事をする
- 甘い飲み物をよく飲む
- 睡眠不足が続いている
- 脂肪肝を指摘されている
- 高血圧や脂質異常症がある
という方も注意が必要です。
体形だけで「自分は糖尿病にならない」と判断することはできません。
糖尿病は、症状が出てからでは遅いのでしょうか?
血糖値が多少高くても、初期にはほとんど症状がありません。
かなり血糖値が上昇すると、
- 喉が異常に渇く
- 水分をたくさん飲む
- 尿の回数や量が増える
- 体重が急に減る
- 疲れやすい
- 傷が治りにくい
- 感染症を繰り返す
などの症状が現れることがあります。
しかし、症状が出る前から高血糖による血管への影響は始まります。
高血糖の状態が長く続くと、将来的に、
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病性腎症
- 糖尿病性神経障害
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 末梢動脈疾患
などにつながる可能性があります。
治療の目的は、単に血糖値を下げることではありません。
将来の目、腎臓、神経、心臓、脳、血管を守り、自分らしい生活を続けることです。
健診で血糖値やHbA1cが高かったときに確認すること
当院では、健診結果とこれまでの経過を確認したうえで、必要に応じて次のような検査を行います。
- 空腹時血糖値
- HbA1c
- 尿糖・尿蛋白
- 腎機能
- 肝機能
- LDLコレステロール・中性脂肪
- 血圧・体重・腹囲
- 脂肪肝の有無
- 必要に応じた75g経口ブドウ糖負荷試験
糖尿病は、血糖値だけを見ればよい病気ではありません。
血圧、コレステロール、腎機能、脂肪肝なども含め、全身の動脈硬化リスクを確認することが重要です。
再検査を受けると、すぐ薬を始めることになりますか?
再検査を受けたからといって、全員がすぐ薬を飲み始めるわけではありません。
数値や健康状態によっては、食事、運動、体重、睡眠などを見直し、一定期間後にもう一度検査することもあります。
一方、血糖値が非常に高い方や、すでに合併症が疑われる方では、早めに薬物治療を始めた方がよい場合があります。
治療方針は、
- 血糖値とHbA1c
- 年齢
- 体重
- 糖尿病の経過
- 合併症の有無
- ほかの病気
- 生活スタイル
- 患者さんご本人の希望
を踏まえて一緒に考えます。
受診することと、薬を始めることは同じではありません。まず現在の状態を正確に知ることが第一歩です。
健診結果を「来年まで様子見」にしないでください
健診で血糖値やHbA1cの異常を指摘されても、体調に変化がないため、そのままになっている方は少なくありません。
しかし、再検査を先延ばしにしている間にも、血糖状態が悪化する可能性があります。
特に、
- 「要受診」「要精査」と記載されている
- 空腹時血糖値が126mg/dL以上
- HbA1cが6.5%以上
- 前年より数値が上昇している
- 高血圧、脂質異常症、肥満、脂肪肝がある
- ご家族に糖尿病の方がいる
場合には、早めにご相談ください。
健診を受けた施設以外でも、再検査や精密検査を受けることができます。
健診結果一式と、過去の検査結果、お薬手帳をお持ちいただくと、数値の変化をより正確に判断できます。
新宿イーストサイドたけうち内科では、血糖値だけでなく、血圧、脂質、腎機能、肝機能なども含めて確認し、一人ひとりに合った方針をご提案します。
当院は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。
「少し高いだけ」の段階こそ、将来の糖尿病を防ぐためにできることがあります。
新宿イーストサイドたけうち内科
院長 竹内惠理保
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カテゴリー : ブログ
投稿日 :2026年9月8日