咳止めを飲んでも咳が止まらない|「咳喘息」だけではありません
呼吸器シリーズ
咳止めを飲んでも咳が止まらない|「咳喘息」だけではありません
「咳止めを飲んでいるのに、咳が治りません」
外来では、
「風邪薬と咳止めを飲んだけれど、咳だけが残っている」
「吸入薬を処方されたけれど、あまり変わらない」
「咳喘息と言われて治療しているが、咳が止まらない」
というご相談をよく受けます。
咳が続くと、
「もっと強い咳止めを飲めばよいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、咳止めを飲んでも改善しない場合に大切なのは、薬を強くすることではなく、なぜ咳が出ているのかを見直すことです。
咳は、体が異物を外へ出そうとする反応です
咳は、気道に入ったウイルス、細菌、痰、ほこりなどを外へ出し、肺を守るための反応です。
そのため、咳を一時的に抑えるだけでは、原因となっている病気が改善しないことがあります。
咳の診療では、
- いつから続いているか
- 乾いた咳か、痰が絡む咳か
- 夜間や明け方に悪化するか
- 会話、運動、冷たい空気で誘発されるか
- 鼻水や後鼻漏があるか
- 胸やけや胃酸の逆流があるか
- 発熱、息切れ、胸痛を伴うか
- 血の混じった痰が出るか
- 喫煙歴があるか
- 服用している薬は何か
などを確認します。
咳の音や強さだけで、原因を決めることはできません。
風邪の後に咳だけが残ることがあります
風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などが改善した後も、気道の過敏な状態が残り、咳だけが数週間続くことがあります。
これを感染後咳嗽と呼びます。
熱が下がり、体調も回復しているのに、
- 会話をすると咳が出る
- 冷たい空気を吸うと咳き込む
- 夜になると咳が増える
- 一度咳が出るとなかなか止まらない
という症状が続くことがあります。
感染後咳嗽は時間とともに改善する場合もありますが、肺炎、喘息、百日咳などとの区別が必要です。
長引く咳を、すべて「咳喘息」と決めつけないことが大切です
咳喘息は、ゼーゼー、ヒューヒューという明らかな喘鳴がなく、咳を中心に現れる喘息の一つです。
実際に長引く咳の原因として、咳喘息は重要な病気です。
しかし、咳が長引いているという理由だけで、すべてが咳喘息になるわけではありません。
長引く咳には、次のような原因があります。
- 感染後咳嗽
- 気管支喘息・咳喘息
- 鼻炎、副鼻腔炎、後鼻漏
- 胃食道逆流症
- 慢性気管支炎・COPD
- 気管支拡張症
- 肺炎
- 百日咳やマイコプラズマなどの感染症
- 肺結核・肺NTM症
- 間質性肺炎
- 肺がん
- 心不全
- 薬の副作用
咳喘息として吸入薬を使用しても十分な改善がみられない場合は、単に吸入薬を追加するのではなく、診断そのものを見直す必要があります。
咳喘息かどうかは、どのように調べるのでしょうか?
咳喘息や気管支喘息を評価する際には、症状だけでなく、検査結果や治療への反応を総合的に確認します。
当院では、必要に応じて次のような検査を行います。
胸部レントゲン検査
肺炎、肺結核、肺NTM症、肺がん、間質性肺炎、心不全など、肺や心臓に異常がないかを確認します。
胸部レントゲンに異常がなくても、咳喘息などの可能性は残ります。一方で、「咳喘息だろう」と考えていた方から、別の病気が見つかることもあります。
呼気一酸化窒素(FeNO)検査
吐いた息に含まれる一酸化窒素の濃度を測り、好酸球性の気道炎症があるかを確認する検査です。
喘息の評価に役立ちますが、FeNOの数値だけで喘息と確定するものではありません。症状、診察所見、ほかの検査と組み合わせて判断します。
呼吸機能検査
息を吸ったり吐いたりして、気道が狭くなっていないか、肺の機能が低下していないかを確認します。
喘息やCOPDなどの評価に役立ちます。
感染症検査
症状や発症時期に応じて、インフルエンザ、新型コロナウイルス、百日咳、マイコプラズマなどの可能性を検討します。
必要な検査は、全員同じではありません。症状と診察所見から、一人ひとりに合わせて判断します。
「とりあえず抗菌薬」では治らない咳もあります
咳が長引くと、
「細菌感染ではないか」
「抗菌薬を飲めば治るのではないか」
と考える方もいます。
しかし、感染後咳嗽、咳喘息、鼻炎、胃食道逆流症などでは、抗菌薬を飲んでも改善しません。
反対に、細菌性肺炎や百日咳など、抗菌薬が必要になる病気もあります。
大切なのは、咳が続いているという理由だけで薬を選ぶのではなく、原因を考えたうえで治療することです。
次の症状がある場合は、早めの受診が必要です
咳に加えて、次のような症状がある場合は、単なる風邪の後の咳として様子を見ず、早めに受診してください。
- 息苦しい
- 胸が痛い
- 高い熱が続いている
- 血の混じった痰が出る
- 呼吸をすると胸が痛む
- 食事や水分が取れない
- 急に体重が減った
- 夜も眠れないほど咳が続く
- 咳が次第に悪化している
- 健診で胸部異常陰影を指摘されている
呼吸が非常に苦しい、意識がぼんやりする、唇の色が悪いなどの症状がある場合は、救急受診が必要です。
咳止めを飲み続ける前に、原因を確認しましょう
咳止めは、つらい咳を和らげるために役立つことがあります。
しかし、咳止めを飲んでいるのに改善しない場合は、同じ薬を漫然と続けるだけでは十分ではありません。
咳の原因が変われば、必要な治療も変わります。
「風邪の後だから仕方がない」
「咳喘息と言われたから、このまま吸入薬を続けるしかない」
と決めつけず、一度、咳が続いている原因を整理してみましょう。
新宿イーストサイドたけうち内科では、胸部レントゲン、呼気一酸化窒素(FeNO)検査、呼吸機能検査などを組み合わせ、長引く咳の原因を確認します。
当院は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。
新宿イーストサイドたけうち内科
院長 竹内惠理保
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健診結果、お薬手帳、これまでに受けた検査結果をお持ちの場合は、受診時にご持参ください。
参考
日本呼吸器学会「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」
カテゴリー : ブログ
投稿日 :2026年10月8日