心電図が正常なら胸の痛みは心臓ではない?|心筋梗塞・狭心症を見逃さないために【新宿・東新宿】
胸痛外来・症状シリーズ
心電図が正常なら胸の痛みは心臓ではない?|心筋梗塞・狭心症を見逃さないために【新宿・東新宿】
「胸が痛くて心電図を受けたけれど、異常なしと言われました」
「心電図が正常なら、心筋梗塞や狭心症ではないのでしょうか?」
胸痛の診療で、よくいただく質問です。
結論から申し上げると、一度の心電図が正常だったという理由だけで、心筋梗塞や狭心症を完全に否定することはできません。
心電図は胸痛の診断に欠かせない検査ですが、万能ではありません。
大切なのは、心電図だけを見ることではなく、
- どのような痛みなのか
- いつから始まったのか
- 何をしているときに起こったのか
- 痛みが何分続いたのか
- 現在も痛みが続いているのか
- 息苦しさや冷汗などを伴っていないか
- 心臓病の危険因子があるか
を確認し、診察やほかの検査と合わせて総合的に判断することです。
心電図は、心臓の「その瞬間」を記録する検査です
一般的な12誘導心電図の記録時間は短く、検査をしている瞬間の心臓の電気活動を記録します。
そのため、胸痛が治まった後に心電図を記録すると、一時的に起きていた変化が消えていることがあります。
例えば、
- 運動時だけ起こる狭心症
- 一時的に冠動脈がけいれんする冠攣縮性狭心症
- 症状が出たり治まったりする不安定狭心症
- 発症直後の心筋梗塞
- 通常の心電図では変化を捉えにくい部位の心筋虚血
などでは、最初の心電図だけで診断できないことがあります。
日本循環器学会の急性冠症候群ガイドラインでも、急性冠症候群が疑われる場合には、問診、身体所見、12誘導心電図、採血、必要に応じた画像検査を組み合わせて評価することが示されています。j-circ.or.jp
心筋梗塞でも、最初の心電図に典型的な変化が出ないことがあります
心筋梗塞というと、心電図で大きな異常が出るイメージがあると思います。
確かに、冠動脈が急に閉塞し、心電図に明らかなST上昇が現れる心筋梗塞もあります。
一方、ST上昇を示さない心筋梗塞や急性冠症候群もあります。
また、発症直後には心電図や採血に十分な変化が現れず、時間の経過とともに異常が明らかになる場合もあります。
そのため、疑わしい胸痛では、
- 心電図を時間を置いて再検する
- 症状があるときの心電図を確認する
- 心筋トロポニンなどの血液検査を行う
- 心臓超音波検査や冠動脈CTなどを検討する
- 必要な場合は速やかに救急病院へ紹介する
といった対応が必要です。
「心電図が正常だったから、絶対に心臓ではない」とは言い切れません。
胸痛では、心電図より先に「痛みの話」を聞くことが大切です
胸痛の診断では、症状の聞き取りが非常に重要です。
心臓が原因の胸痛を疑うのは、例えば次のような場合です。
- 胸が締め付けられる
- 胸を重いもので押される感じがする
- 階段や早歩きで胸が苦しくなる
- 安静にすると数分で治まる
- 痛みが左肩、腕、顎、背中へ広がる
- 冷汗、吐き気、息苦しさを伴う
- これまでより強い、または長い胸痛が起きた
- 安静にしていても胸痛が起きるようになった
ただし、心筋梗塞の症状は必ずしも典型的とは限りません。
高齢者、女性、糖尿病のある方などでは、強い胸痛がなく、
- 息苦しい
- 吐き気がする
- 背中が痛い
- 胃が重い
- 急に体調が悪くなった
- 冷汗だけが出る
といった症状で発症することもあります。
胸痛の原因は、心臓だけではありません
胸の中や胸壁には、さまざまな臓器や組織があります。
胸痛の原因として考える必要があるのは、心筋梗塞や狭心症だけではありません。
心臓・血管
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 急性大動脈解離
- 心膜炎
- 不整脈
肺・胸膜
- 気胸
- 肺血栓塞栓症
- 肺炎
- 胸膜炎
胸壁
- 肋骨骨折
- 肋間筋などの筋肉痛
- 肋軟骨炎
- 帯状疱疹
消化器
- 逆流性食道炎
- 食道けいれん
- 胃・十二指腸疾患
心電図が正常であっても、大動脈解離、肺血栓塞栓症、気胸など、緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。
「心電図が正常だった」という結果だけで、胸痛そのものを放置しないことが大切です。
胸を押して痛ければ、心臓ではありませんか?
胸を押したときに同じ痛みが再現される場合、筋肉、肋骨、肋軟骨など、胸壁の痛みである可能性は高くなります。
しかし、それだけで心臓病を完全に除外できるわけではありません。
心臓の病気と胸壁の痛みが、同時に存在することもあります。
特に、
- 高血圧
- 糖尿病
- LDLコレステロール高値
- 喫煙
- 慢性腎臓病
- 心筋梗塞の家族歴
- 過去の狭心症や心筋梗塞
がある方では、胸を押して痛む場合でも、症状全体を確認する必要があります。
当院では、心電図だけで胸痛を判断しません
私は、病院勤務時代に胸部外科、心臓血管外科、呼吸器外科、救命救急の診療に携わってきました。
胸の痛みを診るためには、心臓だけ、肺だけ、骨や筋肉だけを見るのでは不十分です。
胸郭の中には、心臓、大動脈、肺、胸膜、食道があります。胸壁には、肋骨、筋肉、神経、皮膚があります。
私は、手術や救急診療を通じて、これらの臓器や組織を直接見て、触れ、治療してきました。
その経験を生かし、当院の胸痛外来では、
- 痛みの場所と性質
- 発症した状況
- 痛みの持続時間
- 診察所見
- 血圧、脈拍、酸素飽和度
- 心電図
- 胸部レントゲン
- 必要に応じた血液検査
- 心臓・肺・大動脈・胸壁・食道を含めた鑑別
を組み合わせ、緊急性を判断します。
当院で対応できない緊急疾患や、専門病院での検査・治療が必要と判断した場合には、速やかに連携医療機関へつなぎます。
心電図が正常でも、症状が続くときはご相談ください
次のような方は、一度ご相談ください。
- 心電図は正常だったが、胸痛を繰り返している
- 階段や早歩きで胸が痛くなる
- 胸の圧迫感や締め付け感がある
- 痛みの原因が心臓、肺、筋肉のどれか分からない
- 健診で心電図異常を指摘された
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症があり、胸痛が気になる
- 過去の検査では異常なしだったが、症状が変化した
胸痛は、後日の予約日まで我慢する症状ではありません。
症状がある当日にご相談ください。
通常の診療時間内は、予約なしでも診察します。診療状況により、お待たせすることがあります。
このような胸痛は、当院へ来る前に119番を
次の症状がある場合は、クリニックの予約や受診を待たず、直ちに119番へ連絡してください。
- 突然起こった激しい胸痛
- 胸を強く締め付けられる痛みが続いている
- 冷汗、吐き気、強い息苦しさを伴う
- 痛みが背中、顎、肩、腕へ広がる
- 意識が遠のく、失神した
- 顔面蒼白になっている
- 突然の胸痛とともに手足の麻痺や言葉の出にくさがある
ご自身で車を運転して受診しないでください。
新宿・東新宿で、原因の分からない胸痛にお困りの方へ
新宿イーストサイドたけうち内科では、原因がまだ分からない胸の痛みを総合的に診察する「胸痛外来」を行っています。
当院は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階です。
- 新宿駅から約1.2km、タクシーで約6分
- 新宿三丁目駅から約450m、タクシーで約2分
※距離と所要時間は目安です。乗車場所や交通状況によって異なります。
お薬手帳や、過去の心電図・画像検査の結果があればお持ちください。
新宿イーストサイドたけうち内科
院長 竹内 惠理保
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参考資料
カテゴリー : ブログ
投稿日 :2026年10月29日