健診シリーズ
健診で血圧が高いと言われたら|会社の健診だけ高い場合も受診が必要?
「健診のときだけ高かったので、大丈夫だと思います」
健康診断で血圧が高いと指摘された方から、
「普段は何ともありません」
「健診で緊張していただけです」
「もう一度測ったら少し下がりました」
「血圧の薬を飲み始めたくないので、受診していません」
と言われることがあります。
確かに、血圧は緊張、睡眠不足、疲労、気温、喫煙、カフェイン、運動などによって変動します。
健康診断で一度血圧が高かったからといって、それだけですぐに高血圧と確定し、全員が薬を飲み始めるわけではありません。
しかし、「健診で緊張しただけ」と自己判断し、そのまま放置することもおすすめできません。
大切なのは、健診の数字だけで結論を出すことではなく、家庭での血圧を確認し、本当に治療が必要な高血圧かどうかを見極めることです。
健診では、どのくらいから高血圧ですか?
病院や健康診断などで測る血圧は、一般に、
上の血圧が140mmHg以上
または、
下の血圧が90mmHg以上
の場合に、高血圧と判定されます。
「上は正常だけれど、下が90以上だった」
という場合も高血圧です。
ただし、血圧は常に同じ値ではありません。
歩いてきた直後、会話をしながら測ったとき、緊張しているとき、尿を我慢しているときなどには高くなることがあります。
一度だけ高かった場合は、落ち着いた状態で測り直し、さらに家庭血圧を確認することが重要です。
「会社の健診だけ高い」のは、白衣高血圧かもしれません
病院や健康診断では血圧が高いのに、自宅では正常な方がいます。
これを白衣高血圧といいます。
医師や看護師の白衣を見ると緊張する、という意味から名付けられましたが、会社の健康診断など、普段と異なる環境で測定したときにも起こります。
健診の血圧が高くても、家庭血圧が正常であれば、直ちに薬による治療が必要とは限りません。
ただし、白衣高血圧の方は、将来的に持続性高血圧へ移行することがあります。
「自宅では正常だったから、もう一生大丈夫」
というわけではなく、その後も定期的に家庭血圧を確認することが大切です。
健診では正常なのに、自宅で高い「仮面高血圧」もあります
白衣高血圧とは反対に、病院や健康診断では正常なのに、自宅や職場では血圧が高い方もいます。
これを仮面高血圧といいます。
健診では正常という仮面をかぶっているため、見逃されやすい高血圧です。
特に、
- 朝起きた直後に血圧が高い
- 仕事中や残業中に血圧が高い
- 睡眠時間が短い
- 強いストレスが続いている
- 喫煙している
- 飲酒量が多い
- 肥満がある
- 糖尿病や腎臓病がある
- 睡眠時無呼吸症候群が疑われる
という方では注意が必要です。
健康診断の血圧が正常でも、朝の家庭血圧が高い場合には、脳卒中や心臓病の危険性を十分に評価する必要があります。
家庭血圧は、どのくらいから高血圧ですか?
家庭血圧では、
上の血圧が135mmHg以上
または、
下の血圧が85mmHg以上
の場合に、高血圧と判断します。
健診や診察室で測る血圧よりも、家庭血圧の基準は5mmHg低く設定されています。
家庭血圧は、日常生活の中で繰り返し測定できるため、その方の普段の血圧を知るうえで非常に重要です。
日本高血圧学会のガイドラインでも、高血圧の判断では家庭血圧が重視されています。
家庭血圧は、いつ、どのように測ればよいですか?
家庭血圧は、朝と夜に測定します。
朝の血圧
- 起床後1時間以内
- 排尿後
- 朝食前
- 血圧の薬を飲む前
- 座って1~2分安静にしてから
夜の血圧
- 就寝前
- 座って1~2分安静にしてから
椅子に座り、背もたれに背中をつけ、両足を床につけて測ります。
腕は心臓と同じ高さに置き、上腕に巻くタイプの血圧計をおすすめします。
1回測って終わりではなく、原則として朝と夜にそれぞれ2回測定し、その記録を5~7日程度続けると、普段の血圧が分かりやすくなります。
数値を紙の血圧手帳に書いても、血圧計のアプリに保存しても構いません。
血圧が高くても、ほとんど症状はありません
高血圧について、
「頭痛がないから大丈夫」
「めまいも動悸もありません」
「体調はよいので、血圧は問題ないと思います」
と考える方がいます。
しかし、高血圧は、かなり高くなるまで明らかな症状が出ないことが少なくありません。
症状がないまま長期間続き、少しずつ血管や心臓、腎臓へ負担をかけていきます。
その結果、将来的に、
- 脳梗塞
- 脳出血
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 心不全
- 心房細動
- 慢性腎臓病
- 大動脈瘤や大動脈解離
などにつながることがあります。
高血圧を治療する目的は、単に健康診断の数字をきれいにすることではありません。
将来の脳、心臓、腎臓、血管を守ることが治療の目的です。
受診すると、すぐ薬を飲むことになりますか?
健診で血圧が高かったからといって、受診したその日から必ず薬を始めるわけではありません。
まず、
- 健診で測った血圧
- 家庭血圧
- 年齢
- 喫煙の有無
- 糖尿病や脂質異常症の有無
- 腎機能
- 心臓病や脳卒中の既往
- ご家族の病歴
- 現在飲んでいる薬
- 生活習慣
などを確認します。
必要に応じて、
- 血液検査
- 尿検査
- 心電図
- 胸部X線
- 心臓や頸動脈などの超音波検査
を行い、すでに心臓、腎臓、血管へ負担がかかっていないかを確認します。
血圧の程度が軽く、心血管リスクが高くない場合には、家庭血圧を測りながら、減塩、運動、体重管理、節酒などで経過を見ることもあります。
一方、血圧が非常に高い方や、糖尿病、腎臓病、心臓病などがある方では、早めに薬による治療をご提案することがあります。
血圧が180/120mmHg以上の場合は注意してください
血圧が非常に高くても、症状がなければ、慌てて何度も測り続ける必要はありません。
まず座って数分安静にし、もう一度測り直してください。
それでも180/120mmHg以上が続く場合には、早めに医療機関へ相談してください。
特に、
- 激しい頭痛
- 胸の痛み
- 呼吸困難
- 片側の手足が動かしにくい
- 言葉が出にくい
- 意識がぼんやりする
- 急に見えにくくなった
などを伴う場合には、脳卒中、心筋梗塞、大動脈解離などの可能性があります。
この場合は通常の外来受診を待たず、救急車を呼んでください。
2025年版ガイドラインでは、降圧目標がより厳格になりました
日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、治療中の方の降圧目標として、原則、
診察室血圧130/80mmHg未満
家庭血圧125/75mmHg未満
が示されています。
高血圧の診断基準である140/90mmHgと、治療によって目指す血圧は同じではありません。
つまり、治療中の方は、
「140を下回っているから十分」
とは限らないということです。
ただし、年齢、体の状態、ふらつき、転倒リスク、腎機能、薬の副作用などによって、実際の目標は一人ひとり異なります。
数字だけを一律に追いかけるのではなく、安全性を確認しながら調整することが大切です。
健診で血圧が高かった方は、結果と家庭血圧をご持参ください
健診で血圧が高いと言われても、すぐ薬を飲むと決まったわけではありません。
しかし、
「そのうち下がるだろう」
「緊張しただけだろう」
と何年も放置してしまうと、治療を始めるべき時期を逃す可能性があります。
まず家庭血圧を測り、本当に高血圧なのか、治療が必要なのかを確認しましょう。
受診の際には、
- 健康診断の結果
- 家庭血圧の記録
- お薬手帳
- 過去の検査結果
をご持参ください。
新宿イーストサイドたけうち内科では、健診の数字だけで薬を決めるのではなく、家庭血圧と将来の心血管リスクを確認し、一人ひとりに合った方針をご提案します。
当院は、東新宿駅A3出口直結、新宿イーストサイドスクエア地下1階にあります。
新宿イーストサイドたけうち内科
院長 竹内惠理保
高血圧・健診異常のご相談
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